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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
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第43話 小僧。あいつは何者だ?

「小僧。あいつは何者だ?」

 グラスデールがセイに訊いてきた。その声色は耳をおおいたくなるほど不快だった。まるで黒板に爪をたてたときの音のように神経を逆なでする。


「さあね。でもあんたを倒しにきた。ぼくらの味方だ」

「倒しに? 笑止。おまえらごときでは、ワレの相手になどならん」

「倒すさ。それがぼくの使命だからね」


「では、まずはこいつを倒してみるがいい」

 グラスデールの目が反転して、真っ黒になった。表情が読み取れない。

 その瞬間、グラスデールが目にもとまらないスピードで、セイに切りかかってきた。

 数十メートルの距離を一種で。

 瞬間移動したとしか思えなかった。

 最初の一太刀は、セイは自分の剣で受けたが、次の太刀は空中から飛び出してきた数本の剣が盾となって受けとめた。 

 が、3本目の腕が横に一閃してきた剣は、セイはうしろに倒れ込んで避けるのが精いっぱいだった。


 尻餅をついたセイに、四本目の剣が振り降ろされた。その剣先がセイの眉間に迫る。

「セイ!」

 ジャンヌが悲鳴のような声をあげた。

 

 が、グラスデールの剣はセイの眼前でとまった。

『なにぃ?』

 

 セイはとまどうグラスデールを見あげた。

「残念だったね」

「ど、どういうことだ?」


 セイはわざとゆっくりと立ち上がると、からだについた埃をはたきながら言った。

「剣だよ。透明のね」

 セイは、目の前の空間に盾代わりに潜ませていた剣を実体化させた。並んだ5本の刀が空中に現出する。その刃はグラスデールの一撃で折れたり、欠けたりしていたが、かろうじて一撃を食い止めていた。


「器用な真似を」

「リアムさんの見えない武器っていうのを真似てみただけだよ」


 セイはあらたに呼びだした剣を、空中から引き抜いた。今度は日本刀ではなく、西洋の両刃のロングソード。からだの前で身構える。


 グラスデールのからだを包み込んでいるどす黒い邪気が重厚さを増し、さらに邪悪な気配をあたりにまき散らしはじめた。パワーアップというよりも、さらに別のものへの進化をしているようでさえある。

 嫌な予感がした。


 これ、はやめに決着つけとかないと、ヤバいかもね。


 セイはおおきくジャンプすると、グラスデールの頭上から剣を振り降ろした。

 グラスデールが両腕にもった剣を頭上に掲げて、セイの剣を受けようと身構え、それと同時に三本目と四本目の手のなかの剣を、セイにむかって振り上げた。

 セイはグラスデールが上にむけた2本の剣に、自分の剣をあてると、その勢いを利用してグラスデールの頭越しに背中側に飛び出した。


 背後に回られると警戒したグラスデールが、からだを反転させようとする。その瞬間を逃さずセイが手を前にふるった。


 地中に潜ませていた槍がグラスデールのからだにむかって飛び出していく。

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