表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
871/932

第40話 リアム・ミィシェーレ、参戦!

「美しき公爵さま」

 ジャンヌが目を見開いたまま、目の前に立つアランソン公を見つめたままつぶやくように言った。

「あなたはなぜここへ。イングランド軍と戦ってはだめなのではないですか?」


「ジャンヌ、すまない。じつはわたしはアランソン公ではない」

 整った顔をすこしゆがませて、アランソン公が申し訳なさそうに言った。


「どういうこと……」


「ジャンヌ、わたしはリアム・ミィシェーレ。セイとおなじ未来人なのだ。アランソン公のからだを借りてこの世界に潜入していた」

 アランソン公の姿がしろい(もや)のようなものに包まれはじめたかと思うと、リアムが姿に変貌していった。


「ま、さすがにやばいんで、正体、現わすことにしたのさ」


 若くうつくしい貴族が、むつけき中年の姿に変わったのをみて、みんな呆然としていた。とくにジャンヌのおどろきはおおきく、口元を手でふさいだまま身じろぎもできずにいた。


「ジャンヌ。すまないねぇ。中身がこんな野暮ったいおっさんで」

 リアムはそう自虐的に言いながら、そしてロワール川の水面を蹴り上げながら、こちらに迫ってくる黒い兵士たちを見た。リアムは手のひらに力をためこむ仕草をすると、そのまま押しだすようにして、手を黒騎士たちのほうへ突き出した。

 途端に、突き出した手の先の導線にいた黒い兵士たちがはじけ飛んだ。

 

 なんにも見えなかった。


 突進してくる兵士たちは、まえがかりの姿勢のまま、腕や脚、頭を吹き飛ばされた。あまりにも苛烈な攻撃に、自分が頭を飛ばされたことに気づかず、兵士たちはしばらく走り続け、電池が切れたように突然倒れた。

 一瞬で10人ちかい兵士を掃討していた。


 すごい!


「セイ、こんなことで驚いてもらっちゃ困る」

 リアムはにこりと笑うと、上空に手をつきあげてぐるりと手を回した。

 数体の黒い兵士が空へ舞いあげられた。ちかくにいるフランス兵の周りにはそよ風ほども揺らがなかったが、イングランドの死者だけが空を飛んでいた。


「おれの『(ギフト)』は……」

 リアムが手のひらを下に叩きつけるようなジェスチャーをすると、中空に浮いていた黒い兵士が、ものすごい力で地面に叩きつけられた。

 ベチャという音すら聞こえないほど、圧倒的な力で兵士のからだはぐちゃぐちゃに潰れていた。


「『空気』だ。空気を自在に操る」


 それを聞いてセイはごくりと唾を飲んだ。

 自然の摂理(エレメント)を操る力というのは、並大抵のことではないと直感でわかったからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ