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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
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第25話 オルレアン軍の司令官 ル・バタール・ドルレアン

「ラ・イール。あなたはわたしの味方になってくれると言ったのに、なぜ裏切ったのです?」

「ジャンヌ。おまえさんは実戦の初歩も知らないんだ。いきなり実戦に飛び込むような真似はさせられんよ」

「わたしは神の声に導かれているのです。だからかならず勝てると確信しているのです」


 そのとき、対面から数頭の騎馬がこちらに向ってくるのがみえた。

 ジャンヌはからだを硬くしたが、ブロスやラ・イールには旧知の仲らしく、手を挙げてその出迎えにこたえた。

「だれです?」


「さきほど言ってた、オルレアン軍の司令官、ジャン・ドルレアン(デュノア伯)だ。まぁ、わしらはみな、ル・バタール(私生児)と呼んでるがな」

ル・バタール(私生児)……」

 ジャンヌはそうつぶやくなり、こちらにむかってきた司令官にむかって言い放った。


挿絵(By みてみん)


「あなたが、このオルレアン軍の司令官、ル・バタール・ドルレアンですね!」

 名前を確認するというより、すでに喧嘩腰の詰問調になっていた。


「いかにも。貴女(あなた)が途中事故もなく到着されて、たいへん嬉しく思います」

 ジャンヌの口調を無視するように、わざとていねいな口調で彼は答えた。


 ル・バタールはパッと見た目、武人のようには見えなかった。やさしげな目をした美男子で、どこか気品を感じさせた。すこし中性的な雰囲気もあり、数ヶ月も篭城に耐え抜いてきた指揮官とは思えなかった。

 そしてなによりも若かった。

 ジル・ド・レも若々しかったが、ル・バタールもおなじくらいの年(26歳)に見えた。


「わたしを川の反対側からくるように仕向けて、イングランド兵のところへ行けないようにしたのはあなたですか!」

「ええ。わたしとほかの経験豊富な者と話しあい、最良で安全な方法だと思ったものですからね」



「神の御名において、われわれの主の御指図のほうが、あなたの幕僚たちの指示よりもずっと賢明でまちがいがないのです。あなたはわたしを出しぬいてやったとお考えでしょうが、過ちを犯しているのはあなたのほうなのです。なぜならわたしは今までどんな武将や町も得たことのない、天上の王からの最高の援軍をお連れしたのですからね」


 初対面にもかかわらず、自分たちの作戦を頭ごなしに否定され、最大限の歓待で臨んだル・バタールもさすがにムッとした様子だった。

「ジャンヌ、無理なのですよ。このオルレアンはイングランド軍に囲まれていて、このルートしか入城する方法はないのです。それでも今は身動きができないのですから」


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