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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
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第22話 きみがトラウマと呼んでいるモノは『悪魔』だ

 だがこの世界に関与するものは、宗教観の違いをこえて知っておくべきではないのか?

 

 きみがトラウマと呼んでいるモノは『悪魔』だ……と。

  

 だが正体を知ってしまうことが果たして良いことなのだろうか?

 知らずに戦っているからこそのパワーかもしれない。


「セイ。きみはなんのために、ひとの前世にダイブしているのかい?」

 セイは驚いた顔をした。

「リムルさん、ずいぶんおかしなこと訊きますね。ぼくがこの世界にダイブして歴史を変えるのは、昏睡病の患者を救うためですよ」

「それだけ?」

「ほかになにかあるんですか?」

「あ、いや……」

 屈託のない目でそう尋ねられて、リムルはことばを飲みこんだ。ここで宗教的な使命感などをもちだすことが、みっともない気がした。


「ただ……ぼくには昏睡病で眠り続けている妹がいるんです。すでに精神の核が閉じてしまってダイブができなくなっている」

 セイの顔が悔しさに歪んだ。

「ぼくはその時、助けられるだけの力がなかった。だからいつか妹の魂を引き揚げる力を手に入れたいって思って……」

「どうやって?」

「わかりません。でもすこしでもおおくの昏睡病患者を助けることで、なにかヒントが得られるんじゃないかって期待してます」


「そうか……」

 リムルはセイの告白を聞いて、自分たちの宗教的世界に巻込まないことを決断した。


 カトリック教会の配下にある組織『ダイバーズ・オブ・ゴッド』

 そして最近組織づくられた、宗教の垣根を越えて能力社が協力しあう組織——


 『サイコ・ダイバーズ』


 これらの組織に、人命救助のため純粋に戦っている少年を巻込んではならない——



「そうだねぇ。こいつの呼び名は宗教に関わることだから、きみにその定義を押しつけるのはよしとくさ。おれもあの化物のことを『トラウマ』と呼ぶことにするよ」

「なんか、すっきりしないですね」

「気にしない、気にしない。呼び名なんてどうだっていい話さ。それよりおれの正体、しばらく秘密にしておいてくれっかなぁ」

 リムルはそう念押ししてから、さらに付け加えた。


「それから、おれはよほどの危機がない限りきみに加勢はしない。まがりなりにもイングランド軍への身代金を完納してない身だし、本当の姿を現わして戦えば、またいろいろ説明しなくちゃなんないからねぇ」



「ええ。わかりました……」


「憧れの『美しき公爵さま』の正体が、中年のオジサンだってわかったら、ジャンヌががっかりすると思いますしね」

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