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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
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第18話 傭兵の司令官ラ・イール

「生まれのいいおまえさんとちがって、ガスコン人のオレ様はこんな生き様で、ここまできてるからな。おまえさんはオレ様からみりゃ、別世界のお方なのさ。だから……」


ラ・イールのイメージミニチュア

挿絵(By みてみん)


 ラ・イールの悪態がとまった。

 ジャンヌがラ・イールの元にかけより、その足元にひざまずいたからだ。

「なんだ、おい!」

「ラ・イール様。足をわるくされているのに、この戦いに加わっていただけるとは、なんとフランス思いなのでしょうか」

 そう声をかけながら、ジャンヌがラ・イールの脚に触れようと手を伸ばした。


「おい、おい、触らんでくれるか。メス臭いにおいが移っちまうだろうがぁ」

 杖でジャンヌの手を制した。

「におい? まぁ、お鼻までわるくされたのでしょうか?」

 ラ・イールの顔色が曇っていくのが、遠めにもわかった。


「敗戦続きで疲れているのかもしれませんね」

 慈しみにあふれた口調だったが、ラ・イールを怒らせるには充分だった。


「なにぃ!」

 すでに顔は真っ赤になり、いまにもジャンヌに危害を加えそうだった。


 まずい——


 セイは拳に力をみなぎらせた。横目でちらりとみると、メスも剣の柄に手をかけていた。


「ああ、よかった」

 ジャンヌはラ・イールを仰ぎみながら微笑んだ。

「もうあなたは負けることはないのですから。どんなからだの不調もすぐによくなりますわ」

「負けない……だとぉ」

「はい。あなたは神に選ばれし軍隊の一員なのですから」


「まったく! 王太子様も、ここにいるヤツラも、どいつもこいつも小娘の戯れ言にだまされよって」

「わたしのことばではございません。わたしは『声』に導かれて、いまここにいるのです。神のご意志をお伝えしているだけです」


「は、フランスを救うのが神の意志っていうのなら、オレたちが戦わずともフランスは解放されるはずだ」

「【天は自ら助くる者を助く】でしょ。神様が勝利をお与えになるのは、神様の御名において、あなた達が戦うからなのです」


「ならば、おまえが神の使いだという証を見せてみろ」

「えぇ、オルレアンにいけばそこで証をお見せしましょう」

「くそったれ」


「ここは神の軍隊です! そんな汚らしいことばを使うのは許しません!」

「神の軍隊なものか! 荒くれ者だらけの統率のとれねぇ、くそったれの集まりだ」

「慎みなさい。そんな汚らしいことばを口にしてはなりません!」


 ジャンヌはラ・イールを厳しい表情で睨みつけて言った。

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