表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ8 オルレアンの乙女 〜ジャンヌ・ダルク編 〜
837/932

第6話 八体の黒騎士がいっせいにセイに襲いかかる

 残りの黒騎士が剣を前に突き出したまま、セイを取り囲んでいた。

 全部で8体。

 セイは右腕を天井にむけてつきあげると、天井付近に空間を呼びだし、そこから何本もの剣を現出させた。

 いきなり現われて、空中に浮かんでいる剣に、呆然として見入る騎士たち。


 8体の黒騎士がいっせいにセイに襲いかかる。

 セイは手に持った剣を空中で、頭上からふり降ろした。

 その動きをトレースする形で、空中に浮かんだ剣が上から下へ打ち下ろされる。


 ガチャン、ガチャン……


 大広間に残響音を残しながら、甲高い金属音が響き渡った。


 セイに襲いかかった黒騎士は、襲いかかった格好のまま潰れていた。数本もの剣が上から、一斉にふり降ろされ、まるで空のアルミ缶のようにへしゃげていた。黒騎士どもはぐらりと揺らいだかと思うと、ボワンと黒い煙を吐きだしてそのまま霧消した。


 完全にトラウマの気配がなくなったのを確認すると、セイは手に持っていた剣を消し去った。


「みなさん、大丈夫ですか?」

 セイは残った騎士たちにむかって、声をかけた。一瞬の間があったが、一番年配と思われる騎士があわてて返事をした。


「あ、ああ…… だが、ずいぶんやられてしまった」

「いまのは……あの骸骨の騎士はなんだったんだ?」

 若い騎士がからだを震わせながらセイに尋ねた。


「あれは、ぼくらがトラウマ、って呼んでいる、歴史を変えさせまいとする異分子です」

「ト、トラウマ…… そなたは……そなたはいったい何者だ?」


「ぼくはセイ・ユメミ。未来からきた戦士です」


------------------------------------------------------------


「わたしは準騎士(エキユイエ)のベルトラン・ド・ブーランジイ(37歳)だ」

 年配のほうがセイに名乗ると、若いほうも続いた。

「わたしはジャン・ド・メス(31歳)だ」


「おふたりしか救えなくてすみませんでした」

「いや、そなたがこなければ、ふたりともやられていた……」


「ところで、ここはどこ…… いえ、いつですか?」

「ここはフランス南西部にある、シノン城。そして今は1429年だ」


「ほぼ800年前か……」

「800年! そなたは800年後から来たというのか」

「まぁ……」

「そんな未来から、きみはなにをしに来たのかね?」


「それはね……」

 そういいながらセイは、ジャン・ド・メスのほうへ近づくと、彼の頭の上に手をかざした。メスの頭の上に別の人物の顔が浮かびあがった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ