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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ7 第二次ポエニ戦争 〜 ハンニバル・バルカ編 〜
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第51話 SS級ってたいしたことないのね

「SS級ってたいしたことないのね」


 わたしは本当に苛立ったので、本気でそう言った。

「わたしの母さんは、この程度のことで諦めさせてくれなかったわ」


 わたしは父を睨みつけて言った。

「わたしは殺されそうになる間際まで、逃げることを許してもらえなかった。お父様に……いえ、アダム・ガードナーにいつか仕返しをするためにね」

「な、なにを言うのだ。エヴァ……」


「あなたが母さんと結婚したのは、愛情からじゃなかったでしょう。母さんのマインド・ダイバーとしての能力を必要としたからよね」

「あ、いや……それは……」


「母さんは世界レベルの凄腕ダイバーだった。でもわたしを産んだら、その(ギフト)は次第にうしなわれていった。だからあなたは母さんとわたしの元から去ったのよね」

「ちがう」


「ちがわないっっっっっ!!」

 わたしはこれ以上ない強い口調で父の弁明を否定した。


「母さんの思いをこれ以上踏みにじらないで」


 わたしは地面に手のひらをむけると、渾身の力をこめた。地面にボンとおおきな穴が開く。いままでにないおおきな黒い穴。そのなかでは暗雲が渦巻いていて、その奥底にどれほどの深淵が続いているか、伺い知ることができない。


「母さんはお父様に捨てられても、ずっとお父様を愛していたよ」

 わたしは母の姿を思い出した。

 憐れなほどの献身。みっともないほどの未練——

 涙がこみあげてくる。


「だから、わたしを鍛えたの。自分の代わりに、あなたの役にたつダイバーとしてね」


 足元の暗雲のなかから、オートバイがせり上がってくる。

 この世に存在しない、わたしが想像した唯一無二のバイク。

 正面のカウル部分にヘッドライトの代わりに、おおきな穴があいた奇妙なデザイン。タイヤもない。まるで生えているようにみえるマフラー。それでいて全体のフォルムはバカでかい拳銃を思わせる。


「マ、マリア…… こ、これはなんだ?」


「あら、お父様、なんに見えて?」

「いや、オートバイ……なのか?」


「いいえ。これは銃よ。オートバイサイズのね。わたしの能力は『金』のつくものを生成する力。だからこれは銃よ」

 そう言うと、砲身の上にあるシートにまたがった。


「リスクスさん! うしろに乗ってください」

 わたしはリスクスに声をかけた。

「お嬢、なにを言ってるんだ? こんな妖しげなものに、とても乗れ……」


「あなたの手でマルケルスを討ってください」

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