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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ7 第二次ポエニ戦争 〜 ハンニバル・バルカ編 〜
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第50話 あいつを倒さないとカルタゴ軍は惨敗よ

 ローマ兵が両側にわかれて、退却をはじめた。

 スキピオの指示にちがいなかった。

 兵が後退していくと、テューポーンが、蛇の下半身をくねらせながら進攻してきた。カルタゴ軍兵士は、100メートルはありそうなモンスターの異様な姿を目にすると、我先にと逃げはじめた。

 さきほどまでは人間相手に命のやりとりをしていたけど、どんなに勇敢であっても、これほどの化物には敵わないと察したのだろう。


 わたしは地面に投げ捨てていたバズーカーを拾いあげると、テューポーンに狙いをさだめた。標的はでかいので外しようがなかった。でもとても倒せるとは思えなかった。

 頭頂部のドラゴンにまたがっているフラウロスに狙いをさだめる。


 引金をひく。


 砲弾が勢いよく飛び出し、テューポーンにむかって放たれた。


 ズドーォオオン!!!!


 モンスターの頭頂部分にいたフラウロスに着弾する、というところで、数体のドラゴンが首をクロスして、フラウロスを守った。

 ドラゴンの首が何本か吹き飛ぶ。

 が、そんなもの痛くもかゆくもないという顔で、テューポーンはこちらへ迫ってくる。

 

「ああん、もう。もうすこしであの悪魔を吹き飛ばせたのにぃ」


「エヴァちゃん、この位置からだと難しいよ」

「どこからなら、簡単なの? ビジェイ」

「いや…… 下から頭頂部を狙うのに無理がある」


「じゃあ、もっと高いところに登ればいいかしら」


「ああ、そうだけど、この丘をあがったところでたかがしれている。あまり遠くに離れるわけにはいかない」


「でもあいつを倒さないと、カルタゴ軍は惨敗よ。歴史通りにね。そしてわたしたちは、リスクスさんの未練をはたせずに、ミッション失敗よ」


 そう言いながら、馬上のハンニバルのほうを見あげた。

 ハンニバルは悔しそうに顔を歪めたまま、戦場のほうを見つめていた。

 敗走をはじめたカルタゴ軍を、テューポーンのうねうねとくねる足がはね飛ばし、その進行先にいる兵たちを潰しながら、こちらへむかってきていた。


「CEO、もう諦めましょう」

 ローガンが痛みに顔をしかめながら提案した。

 父はがっくりと肩を落としたまま、軽くうなずいた。


「オレの炎の力は、おなじ炎を操るあのテューポーンとは相性がわるい。ビジェイは水源がないので力を発揮できねぇ。CEOに時間を巻き戻してもらっても、30秒程度ではなんの対策も打ちようがねぇ」


「これだけ不利な状況で、ソロモンの72柱に名を連ねる強い悪魔を相手にするのは、我々SS級であっても危険のほうがおおきいですよ」


 ビジェイが早口でローガンに賛同の意を唱えた。


「たいしたことないのね、SS級っていうのも」

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