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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ7 第二次ポエニ戦争 〜 ハンニバル・バルカ編 〜
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第46話 マルケルスを倒しにいくのよ

 そのあいだに地面の下を、地下水を凍らせながら、ビジェイの氷が正面の軽装歩兵たちに迫る。そして彼らの足元までくると、氷柱が兵たちの足を地面に固定した。突然動きをとめられた兵士たち。

 それまで一方的に斬られていたカルタゴ兵が、反攻をはじめる。どんなに傷を負っていても、命がある限りは剣をふるって、ひとりでもふたりでも戦力を削った。


 戦況はカルタゴ軍にすこし優位に傾きはじめた。

 だが、それで終わるわけがない。


「マルケルスはどこ?」


「あそこにいる! あのアルキメデスとかいう爺の隣だ」

 リスクスの指さす方角をみると、投石機の横で談笑しているマルケルスがいた。

 なにを言っているのかわからない。

 だが、楽しそうに談笑しているのは確かだった。


「まったく余裕じゃないの!」

 わたしは大股歩きで、丘の斜面をおりはじめた。


「嬢ちゃん。ひとりでどこにいくつもりだい」

 ローガンがローマ兵への攻撃を緩めようともせず、あらたな火種を発火させながら言った。


「マルケルスを倒しにいくのよ」

「無茶だ。エヴァちゃん、ぼくらの攻撃がある程度落ちつくまで待って」


「大丈夫よ、ビジェイ。もしわたしがやられたとしても、お父さんが時間を巻き戻してくれると思うから」

「エヴァ。無茶を言うな。このリスクスは、いやジョン・ケイン議員の未練の力は、わたしの力を最大限にまで引きだせるほど強くないんだ」

「30秒くらい戻してくれれば、なんとかするわ。できるでしょ? お父さん」


「3、30秒でなにができる」


 わたしは地面のほうへむけて手をかざした。ボワンと黒い穴があいて、そこから機銃の銃床がすっとせり出してきた。わたしはそれを掴むと、安全装置をはずして構えた。


「機関銃のひとつくらいは出せるわ」



「あぶない!」

 リスクスが叫んだ。

 わたしはとっさにからだをすくめた。

 その頭の上をなにかがかすめていった、かと思うと、ドーンという派手な音がして、近くでなにかが炸裂した。


 なに——?


 わたしはなにかが飛んできた方をみた。


 そこにゆうに5メートルはあろうかというモンスターがいた。

 牛の頭をしたモンスター。

 そのモンスターは足元から、おおきな石を拾いあげると、こちらにむかって投げつけてきた。

 投石機などとはちがう、放物線など描かない直線で、岩が飛んできた。わたしの横をすり抜けて、ビジェイの近くに落ちて、あたりの地面を削り取った。

 破片が飛び散り、ビジェイのからだにその破片が直撃した。


 ビジェイがその場に膝をつく。

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