表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ7 第二次ポエニ戦争 〜 ハンニバル・バルカ編 〜
797/932

第32話 エヴァ、ヒッポカムポスと対峙する

「日本語の『金』が含まれる文字のなかにね……『(ガン)』……っていうのもあるの」


「銃!!! これだから平和の国、日本人ってヤツは!! お嬢ちゃん、相手は500体だ。銃一丁でなんとかなる数じゃねぇよ」

 ローガンがなかば怒り気味に言った。


「あら、ローガン。あなたって銃社会の住人のくせに、想像力が乏しいのね」

「なにぃ」


「ハンドガンが『銃』でないでしょう」


 わたしはビジェイにむかって言った。

「ビジェイ、わたしが合図したら、この氷の壁をなくしてくれるかしら……」

「エ、エヴァちゃん。そんなことしたら、|蜂の巣《bullet-riddled》になってしまう」


「ええ。その通りよ、ビジェイ……」


 わたしの足元の空間から、せりあがってきた『ガトリング・ガン』に手をかけてから言った。


「むこうがね」



「な、なんだ…… そ、その銃は…… そんなの見たことないぞ」

 ローガンの声はなぜか裏返っていた。

 まさか、うろたえてる?


「あら、ローガン、あなたやったことないの?」


 わたしは腰を落として、ガトリングガンを構えてから言った。


「これ、コンピュータゲームの『バイオ・ハザード』シリーズに出てくる『無限ガトリング・ガン』よ」


 その瞬間、ビジェイの氷の壁が砕けた。

 ヒッポカムポスの間断のない水の弾丸攻撃に、とうとう耐えきれなかったみたいだった。


 氷の上部が崩れて、向こうの様子がかいま見えた。


「ビジェイ。あなたの見立て、まちがえてたわよ」


「敵の数、500じゃない……」


 わたしはビジェイにウインクした。

「たぶん一万体はいる」



 わたしは10000の敵にむけて、ガトリング・ガンの引金をひきしぼった。


 ブーーーーンといううなるような音。

 とたんに数百発の弾丸が一斉に放たれる。


 ガガガガガガガガがガガガガガガガガ!!!!!!!


 耳をつんざくような銃声。

 この時代のひとはけっして耳にすることのない音。


 銃口を左右に横にふる。

 薙ぐようにしてビジェイの造った氷の壁が砕かれていくと、むこうに群がっていたヒッポカムポスが見えた。

 が、そう思う間もなくバタバタと倒れていった。


 わたしは無心で引きがねを引き続けた。


 ふと、かなたのアドリア海のほうに視線をむけると、すでにカルタゴ軍とローマ軍の戦いに決着がついていることがわかった。

 わずか2キロ平方メートルほどの平原は、七万もの死体で埋め尽くされていた。


 歴史通り、ローマ軍はほぼ全滅……していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ