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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第277話 切り裂きジャック逮捕

「ポール様がニコルズ様の死体を見たときには血痕がなかった。つまりその時点でニコルズ嬢は、殺されたばかりだったのです」

「いや……そんなはずは……だって本当にそうだったんだ」


「もうひとつおかしな点があります」

「お、おかしな点……」

「はい。おふたりがニコルズ嬢の遺体を発見したとき、ポール様は彼女のからだを支えようと提案されましたが、あなたはなぜかそれを拒否されました……」



「生きているか、死んでいるかもまだわからないのにです」



「いや、あれは死んでいたさ。だから動かしちゃあなんないと……」


「そうですか? でももしポール様の提案に乗っていれば、すぐに喉が切られていたことが判明したはずです……」


「なぜためらったのです? 切り裂きジャックの犯行は、傷口を露わにする特徴があるというのに」


「わたしはやってない」


「往生際がわるいですね。あなたは、ニコルズ嬢を殺してその身体を損壊しようとしていたところへ、ポール様が近づいてきたので、あわてて偽装工作を行い、遺体の第一発見者をよそおったのですよね」


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 数人の警察官とデュー刑事にひったてられていくレクミアのうしろ姿を見送りながら、セイはほっとする思いだった。


 この最後のチャンスにもし切り裂きジャックを特定できなければ、要引揚者を救うことができなかった——


「スピロさん、あのひとが切り裂きジャックだって言っても、状況証拠だけじゃありませんの」

 エヴァが心配そうな目をむけて言った。


「ええ、エヴァ様。ですが、この当時ではその程度であっても、じゅうぶん有罪となりえたのです。それに容疑者とされた人物で、あれほど犯行が可能であった人物はいません」


「そうだね。あとの連中は、精神病だった、身元の怪しいユダヤ人だった、売春婦に恨みがあった、自殺したタイミングで犯行がおさまった、とか、まぁ、こじつけばかりだね。それにくらべりゃあ、ちっとはマシなんじゃないかねぇ」

 ゾーイは半笑い気味に言った。


「あたしゃ、最初からウィリアム・シッカートさんとか、アーロン・コズミンスキーとかはちがうとわかってましたよ」

 コナン・ドイルがドヤ顔で言い放つと、リンタロウがすぐさまたしなめた。

「なに言ってるんです、アーサー。きみは女が犯人だっていう説を唱えてたんじゃないですか。ジャックじゃなくて、切り裂きジルだって」

「リンタロウさん、ちがいますよ。あたしゃ、女性に化けてたんじゃないかって」


「どっちにしても違ってンじぇねぇか、アーサー」

 マリアがコナン・ドイルを小突きながら言った。


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