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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第268話 トライポッドを奪い取りましょう

「トライポッドを奪い取りましょう。奪い取って悪魔のトライポッドへ、こちらからレーザー攻撃をしかけましょう」



「奪い取る?」

 マリアが眉をひそめた。

「なかにはタコみたいな怪物が乗ってンだろ。トライポッドを傷つけずに、どうやってそいつらを倒すンだ」


「簡単です。だってマリア様はすでに、搭乗している火星人を倒しているんですよ」

「そう言われても、オレはどうやって倒したか、覚えがねぇ」

「倒れたときの衝撃で爆発かなにかが起きたんじゃあありませんの?」


「エヴァ様、ちがいます」

 スピロが余裕の笑みを浮かべた。

「おそらくマリア様が機体に穴を空けたから、火星人は死んだんです」

「なんだ、スピロ。それはどーいう意味だ」


「H・G・ウエルズ様の宇宙戦争のラストは実にあっけないものです。ロンドン中を焼き払い、世界中を恐怖のどん底に落とし込んだ火星人は、この地球上にあるウイルスによって、あっという間に死んでしまうのです」

「ウイルスだとぉ」


「つまり、この地球の大気にさらせばいいってことか」

 セイは声をはじけさせた。


「その通りです」


「ちょ、ちょ、ちょっと待て、スピロ」

 マリアがあわててことばを制した。

「倒しかたはわかった。けど、トライポッドを奪い取るったって、なかにはタコみたいなヤツが死んでンだろ。どーやって操縦すんだ?」



「まぁ—— 蹴り出すなり、切り刻むなりしてください」

 スピロが苦笑いをして言った。



「それが無理そうならタコの上にまたがって、操縦するしかないでしょう」


------------------------------------------------------------


 セイはウエストミンスター橋を、ゆっくりと歩いていた。


 ズボンのポケットに手をつっこんで、眼下のテムズ川をときおり覗き込みながら、対岸のビッグベンのほうへむかう。

 橋の上は真っ暗で、ひとっこひとりいなかった。橋の終端には50メートルの怪物、トライポッドの親玉が陣取っているのだから当然だ。

 

 橋の中腹まで行ったところで、はるかかなたから怒鳴り声が降り注いできた。

 アロケルがやっとセイの姿を見つけたようだった。


 なにを言っているのかわからない。


 セイはわざとらしく、耳に手をあて、聞こえない、というジェスチャーをしてみせた。


 その瞬間、トライポッドの目が光ったかと思うと、レーザービームが放たれた。

 が、セイにあたる寸前で、なにかにぶつかってレーザーの光がふいに屈折した。


 あらぬ方向へそれたビームが橋を直撃した。

 ドーンという爆発音とともに、セイから離れた路面におおきな穴があいた。


 その路面はしばらく耐えたが、すぐに崩壊しはじめ、重々しい水音を暗闇に響かせて、橋脚と橋脚のあいだの路面がまるごと落ちていった。

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