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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第265話 刀剣の防御壁がはじき飛ばされる

 そのとき、かなたで光がまたたいた。


 真上で、ドーンという重々しい爆発音——

 ゾーイが上をみあげると、ビッグベンの尖塔と三角屋根の部分が破壊されていた。いくつものがれきが落ちてくる。


 

「ネルさん! 離れて!」

 そう叫んだが、ネルもワイルドもマシュー・バリーも足がすくんだのか、上をみあげたまま動こうとしなかった。ひとの数人なら簡単に押し潰しそうなブロックが落ちてくる。


 ゾーイは天空に手をつきあげた。

 レンガの塊をにらみつける。


 と、その落下スピードがゆっくりと落ちていった。


 細かな破片がバラバラと音をたてて、地面のうえではねたが、一番おおきな塊はまだ宙にういていた。

「はやく、逃げておくれ!」

 ゾーイは食いしばった歯の隙間からネルに言った。

 ネルたちがあわてて、宙に浮いたブロックの下から走り出た。三人が安全圏にでたのを確認して、ゾーイは力をゆるめた。


 ドーン。

 ひときわ重々しい音をさせて、ブロックが地面に落下した。


「すごい……」

 ワイルドが呆然とした様子で呟いた。無意識に両手が拍手をするかのように、胸元まであがっている。


『お姉さま、いまのは?』

『危なかったです。セイ様の刀の防御壁がはじき飛ばしました。ですが、たった一回の攻撃で、防御壁をかなりうしないました。一斉に攻撃を浴びせられたら……』


 そのとき、ガチャ、ガチャという金属音をさせて、刀剣が地面に落ちてきた。どれも折れたり、刀身がなくなっている。


 ゾーイは上をみあげた。

 さきほどは気づかなかったが、空中に浮かせた刀剣で壁が築かれていた。いまはそのまんなか部分におおきな穴が空いている。

 セイはその部分をふさごうと、次の刀剣を中空から呼びだしているが、そのスピードでは連続攻撃には対応できそうにない。


『お姉さま、セイ様もマリア様もバイクに捕まって逃げておくれ』

『4人は無理なので……』

『あたいが浮かせる! だからいますぐ!』


 上空でスピロがなにかを叫んでいるのがみえた。 


 そして次の瞬間——

 マリアが大剣をおさめて、スピロのうしろにからだを滑り込ませた。そしてセイは勢いよくトライポッドの触手の上を走っていくと、動きはじめたピストルバイクの車体の最後尾のとってに飛びついた。


 セイの手が届いた瞬間、エヴァがスロットルをひきしぼった。


 が、そこへ横からレーザービームが撃ち込まれた。セイの刀剣の防壁がそれをむかえうったが、かるがるとはじき飛ばされ、あたりに四散した。

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