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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第258話 存分に力をふるいなさい、ゾーイ

『楽しんでる?』


『ええ、すこぶる楽しくやらせていただいておりますよ。あなたもそうではないのですか?』 だってわたくしへの連絡をずっと怠ってるなんてこと、いままでありませんでしたからね』

 ゾーイはあわてた。スピロが真正面から、しかもなんの衒いもなく、ゾーイの心理を看破してくることなど経験がなかったからだ。


『力を振るえているのでしょう、ゾーイ』


『ええ、お姉さま。マリアさんにも褒められたし、エヴァさんにも認められたんだよ。いまこの瞬間、セイさんの力になってる』

『まあ、羨ましいこと』

『だけど…… お姉さま』


『存分に力をふるいなさい、ゾーイ』

 スピロの声が弾んでいるのがわかった。


『あなたの力はまだまだこれから強くなるはずです。セイ様、マリア様、エヴァ様に鍛えられてね。けっしてみなさんと見劣りしないほど強くなります』

『ああ、そうだね。お姉さま、強くなってみせるさ』

『それでこそ、わが妹、ゾーイです』

 そう鼓舞されて、ゾーイはこころから嬉しくなった。が、ふいにスピロはあらたまった口調で言った。

『ところで、そろそろ、わたくしを助けにきてください』



『わたくしはどうやら人質にむかないようです……飽きました』


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 はるかむこうで派手な爆発が起きているのをみて、マリアはセイが動きはじめたと確信した。

「なんでぇ、あっちのほうがど派手な爆発すンじゃねぇか」

 

 マリアが口をひんまげてそうひとりごちたとたん、ふたたび爆発の轟音とともに、赤々とした火が噴き上がるのが見えた。

「おい、おい、二体同時ってか!」


『おい、ゾーイ。オレの思念をキャッチアップしろ!! そっちはどうなってる?』

 マリアはたまらず、ゾーイに語りかけた。ダメ元だったが、案外にすんなりゾーイがテレパシーで応えてきた。


『マリアさん。なんか用かい?』

『用かい? じゃねぇ。そっちはどーなってンだ。こっちはひとりで、このデカブツを黙々と倒してンだ。もう飽きたよ』

『やれやれ、マリアさんもお姉さまとおんなじだねぇ。辛抱がたんないよ』

『なにがスピロとおなじなんだ?』


『お姉さまも、飽きた、って言ってんだよ。人質になるのが飽きたって』

『な、なんだ、そりゃ? さっさと救いに来い、ってことか?』


『我が姉ながら、まったくわがままでいけないねぇ』

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