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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第257話 セイ、トライポッド圧倒!

 目の前に現われたトライポッドを、あっという間に斬り伏せたセイを見て、ゾーイはおもわず口笛を吹きそうになった。

 それくらい圧倒的だった。

 マリアはゾーイの力でトライポッドの頭に飛び乗ったものの、結局は脚を狙ってなぎ倒す作戦をとったが、セイはまったくちがっていた。


「ゾーイ、頼む!」

 合図にあわせてゾーイは地面をたわませて、そのバネの反動でセイを上空にはじき飛ばした。セイはその勢いをかりて、トライポッドの頭まで飛んで行くと、すぐさまその頭頂部分に剣を突き立てた。

 その動きに呼応して、空から飛んできた数十本の刀が、トライポッドの頭部分にあらゆる方向から突き刺さった。


 針山(ピンクッション)——


 下から見ているゾーイにはシルエットでしかわからなかったが、頭部分から無数のピンが飛び出ている様に、何本もの待ち針がささった針山を思い出した。


 セイはトライポッドの頭がピンだらけになるのを確認する前に、次の機体の頭へ跳躍していた。そしてさきほどとおなじことを繰り返した。

 そしてさらにもう一回——


 3機がそろって現われたのが運の尽きだと言っていいだろう。

 だが、3機だったのは運がよかったのかもしれない。

 もしこれが100機あったとしたら、次々と飛び移って100機全部を、ピンだらけにして破壊していたにちがいない。


 そのとき、あたまの中でスピロの声が聞こえた。

『ゾーイ ちかくに来ているのなら、すぐに伝えなさい』


 姉の声が頭のなかで響いてはじめて、ゾーイは自分がずっと連絡を取りわすれていたことに気づいた。いつもならまっ先に連絡したし、いの一番に相談したはずなのに、それを失念していたことに自分ながら驚いた。


『ああ、ごめんよ。お姉さま。透明人間に手を焼いていたもので……』

 自分でもまったく子供じみた言い訳をしていると感じながら、ゾーイは頭のなかで謝った。そしてすぐに第四の事件を防げなかったこと、ピーターが切り裂きジャックに襲われたこと、そしてピーターがそのときに切り裂きジャックを見たことを、手短に伝えた。


『そうですか…… 苦肉の策でしたが、うまくいきましたか……』

 すべてを聞いて、スピロはため息まじりにそれだけ言った。


『ピーターは無事なのですね』

『ああ、傷は深いらしいけど、リンタロウ先生とコナン・ドイル先生がついてるからねぇ。心配いらないよ』

『そうですね。おふたりとも文学者で有名になる方ですが、曲がりなりにも医者なのですから、お任せすればまちがいないでしょう』


『それより、お姉さま、どうなんだい?』


『わたくしは……楽しんでおります』

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