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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第247話 透明火星人との戦い

 セイはぐっと拳をにぎりしめた。


 今までは悪魔の邪魔にあって、被害者が生きているうちに現場にたどり着けなかった。だが、今、目の前に切り裂きジャックに襲われる前の被害者がいる。

 問題は目の前に透明人間と化した『火星人』がたちはだかっているということだ。


「助けにいかなきゃ!」

「どうやって? セイ、あなた、さっきからイヤっていうほど、敵をやっつけてるわよ。でも前に進めないし、うしろにも引けない状態。あたしたち襲われているわけじゃないけど、身動きができない状態なのは変わんないわ」


 セイは二、三十メートル先にいるキャサリンに目をやった。自分の力ならツーステップで跳んでいける距離だ。

 ネルをおいて跳ぶか?

 それとも正面突破を強行しつづけるか?

 

 そのとき、キャサリンが背後をふりむいた。路地のむこうからだれかがやってきたのがわかった。

 セイはキャサリンの顔を凝視した。

 キャサリンは近づいてきた人物へ、にっこりと微笑んだ。


 親しい人物——?


 いや、客引きのための営業スマイルなのかもしれない。


 だが、そんなことに考えを巡らせている暇はなかった。セイはふりむきざまにネルに「ここを動かないで!」とだけ言うと、おおきくジャンプした。

 中空でも透明火星人は襲ってくるはずだとふんで、セイは空中で刀をふりまわした。予想通り、剣先にぶよぶよとした物体の感触がつたわってくる。


 上空からキャサリンの姿をみおろす。近づいてきた人物の姿はまだ見えない。

 セイは地面に一度降りたつと、もう一度ジャンプした。

 

 空中で剣をふりまわす。


 キャサリンがふいに屈みこんだ。なにかを拾おうとするような仕草。


 なに——?


 その瞬間、目の前の空間が真っ暗になった。暗いというより、漆黒の闇になったというほどのどす黒さだ。キャサリンの姿がまったく見えなくなった。


 なんだとぉーーー


 セイはその真っ黒な空間へ剣を振るおうとした。

 突如、黒い壁に目が現われた。

 無数の目——

 血がしたたるような赤さで、そのおおきさはひとの頭ほどもあった。化物の目が一斉にセイを睨みつけた。

 セイはかまわずその目を斬りつけた。

 その一角が崩れ落ちたかと思うと、2メートルはゆうにある体躯が下におちていった。


 火星人!!!


 セイは一瞬で悟った。

 透明人間だった火星人が、透明ではなくなったのだ。

 触手のような長い腕、おおきな発達した頭の中央についた爛々(らんらん)とした赤い目、ばっくりと切り裂かれたような口——

 すごい数の火星人が積み重なって、セイの前に壁を作っていた。

 

 背後でネルの悲鳴が聞こえた。

 その声ひとつで、セイの跳躍の勢いが削がれた。そのまま火星人の壁の目の前で、セイは地面に降りた。うしろを振り向くと、ネルの背後にいた火星人たちが、ゆっくりとネルのほうへ近寄ってくるところだった。


 ちっ!


 セイはからだを反転させると、おおきくジャンプしてネルに迫る火星人に斬りかかった。

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