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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第244話 注意を! 透明人間が待ち受けているはずです

「あまいですねぇ、スピロさん。悪魔の力というのは、元々持っている力の差などは、さほど問題ではないのですよ」

「負け惜しみにしか聞こえませんが?」

「アンドレアルフスもオレもひとの想像や創造の精神を取り込んで、それを具現化する力に長けている属性の悪魔です。それらの力を借りれば、黄道十二宮の悪魔と同等以上の力を得ることができるのですよ」

「そうですか? レッド・ドラゴンもモーロックも、うまくいかなかった気がしますが?」



「ですが、あのプロビデンスの眼のモンスターには、歯が立たなかったのではないですか?」



 黙り込まされるのは、今度はこちらのほうだった。

 スピロは猛烈に腹がたったが、それを顔に出すわけにはいかなかった。アロケルの言い分を認めることにほかならなかったからだ。


「初手を見誤ったのは、わたくしの責任です。セイ様ではありません」

「ふうむ。では、今度もあなたの作戦ミスで負けるっていうことですね」



 スピロはなにも答えなかった。

 ただ、信じていた。



 セイ・ユメミが負けっぱなしで終わるわけがない、と——


------------------------------------------------------------


「エヴァさん、まだ現場、着かないんですか?」

 コナン・ドイルのぼやきが頭の上から聞こえてきた。

 ゾーイはエヴァのピストル・バイクの下部にぶらさがったままの状態で上をみあげた。バイクの後部シートにはコナン・ドイルとモリ・リンタロウが座っている。ふたりともガタイがいいので、最後部のリンタロウは半分、尻が落ちかかっている。

 

 空からバイクで降りてきたエヴァに、姉が悪魔にとらわれたこと、セイが透明人間に行く手を阻まれていること、そして切り裂きジャックの第四の凶行を防ぐために、自分たちを呼んでいることを伝えられ、ピストル・バイクに飛び乗った。


「小生たちも手伝いますよ」

 そう、モリ・リンタロウが申し出てくれたのは嬉しかったが、そのおかげでゾーイはバイクにぶら下がる役割をになうはめになっている。

 さきほどのセイとおなじだ。


「エヴァさん、そろそろ着きそうだね」

 ゾーイは眼下にみえる街並みの様相が、変化してきたのを感じてそう言った。

「はい、ゾーイさん、もうすぐです。ですが透明人間が待ち受けているはずです。眼をこらして見てもらえますか?」


 すでにセイが打ち上げた光の玉の効果も薄れて、かなり暗くなっていたが、街中を走り抜けるトライポッドのビームや爆発の火柱のおかげで、目をこらさずとも下の様子を見ることができた。

 ここはまだトライポッドの恐怖を感じていないのか、イーストエンドとちがってパニックになっている人々はいなかった。というよりも、ほとんど人通りもなく、いたとしてもただぶらぶら散歩しているようにしか見えなかった。


「エヴァさん、どういうことだい。ここのひとたちは、あっちの騒ぎが聞こえてないのかい?」



「ええ、そう。たぶん見えてないし、聞こえてない!」

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