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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第216話 アニー・チャップマン殺される

 すぐにマリアとエヴァは、こちらと合流することができた。


 コマーシャル・ストリートをやってくるマリアは、実に意気揚々としていて、戦いが終わったのにまだ背中に大剣を背負っていた。

 セイはすぐにマリアが自分の活躍を吹聴したがっていると察した。そしてその通りだった。


「セイ、オレの戦いを見てなかったのか?」

「いや、ごめん。こっちはこっちで忙しかったから」

「なんだよ。あの大ドラゴンの腹を、ばっさりと切り裂いてやったのにな。で、切り裂きジャックはどうなった?」

「いや、それが……」


 セイははっきりと答えると、スピロに申し訳ない気がしてつい口ごもった。

「マリア様。残念ですが……」

 スピロはしっかりとマリアをみてから言った。

「そうか…… で、切り裂きジャックの正体は見れたのか?」

「いえ、本来の殺人現場に現われませんでした」


「まあ、そうですか。また悪魔にしてやられたってことですね」

 エヴァが残念そうに顔をゆがめた。

「前回は時間をずらされ、今回は場所をずらされた、というところかもしれませんね」

「はい、エヴァ様。切り裂きジャックが犯行をおこなわなかった、とは考えにくいですから、おそらくどこかちがう場所で……」


 そのとき、遠くからセイを呼ぶ声が聞こえた。

 一瞬、コナン・ドイルかモリ・リンタロウかのどちらかと思ったがちがった。


 ウォルター・デュー刑事だった。


「探したよ。アバーライン警部から、かならずこの地区にいるはずだ、と言われて。まったく無茶な命令をしてくれるよ。でも、まぁ、会えてよかった」

「デュー刑事、なにがあったんです?」


「アニー・チャップマンが殺されたんだ」


「どこでです!!」

 スピロがデューにつかみかからんばかりの勢いで訊いた。

「ホワイト・チャペル・ロードの近く、キャッスル・アレイだ」

「キャッスル・アレイ?」

 その通りの名をきいても、スピロにはピンときていないようだったが、ネルにはおおいに心当たりがあったらしい。

「あそこはとくに治安がわるい通りじゃないの。狭くて長い路地で、わたしも一度物取りにあったことがあるわ」

「ここからどれくらい離れていますか?」

「すぐ近くだ。来てくれ」



 キャッスル・アレイは、高貴そうな名前とは、まったく似つかわしくない通りだった。あたりの通りも狭かったが、ここはさらに狭い路地で、それが200メートルほど続いているだけだった。『ストリート』と命名されなかったのもよくわかる。


「どこがキャッスル・アレイ(お城横丁)だぁ」

 マリアが静かな口調でケチをつけてきた。すでに路地の中腹あたりに、人だかりができていたので、さすがに声を荒げるのに躊躇したのだろう。

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