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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第202話 セイ対レッド・ドラゴン1

 すでに街は赤い肉塊におおわれていた。レッド・ドラゴンは通路という通路、屋根という屋根を埋め尽くしている。

 だがどの個体も身じろぎひとつしなかった。


「襲ってきませんわね」


 ネルが呟いた。

「ネルさん。あいつら、あたいらを足止めするのが目的なんだよ。こっちが動かなきゃあ、たぶん、なにもしてこないのさぁ」

 ゾーイはそう言いながら、あたりをみまわした。あたり一体をモンスターに囲まれているというのに、静寂そのものだった。こちらに動きがない限りは、微動だにするつもりもないらしい。


 そのあいだにセイはレッド・ドラゴンの群れ、一体一体の頭上に、日本刀を配置していっていた。

 セイが信じられない量の刀剣を、一度に現出させたのを古代オリンピュアで見ていたので、ゾーイはおどろかなかったが、それでもその有り様は壮観ではあった。


「準備ができた。しかけるよ、いいかい、ゾーイ」

「セイさん。まかせておくれ」


 セイが上段に剣を構えた。

 その動きに連動して、レッド・ドラゴンの頭上に浮遊していた刀の切っ先が上をむく。


 レッド・ドラゴンの首筋にむけて、セイが一気に刀をふりおろす。浮遊している刀がおなじ円弧を描いて、一斉にふりおろされる。

 レッド・ドラゴンの首が、一気に刎ねとばされた。

 

 ギャァァァァァ——


 いたるところで悲鳴があがる。が、セイはそれに反応をしめすことなく、すぐさま横に刃を一閃する。

 ふたたびあたりに悲鳴——

 セイはその悲鳴も無視して、間断(かんだん)なく斜めに、横にと刀身をうち振るい続けた。その動作を続けざまに数回続けたところで、スピロが大声をあげた。


「セイ様、駄目です!」

「死なないのか?」

「はい。どうやらレッド・ドラゴンは7つの首をすべて刎ねない限り、動きをとめないようです」

「まいったな。何個かの首を刎ねれば、動きをとめると思ったんだけど……」


「きゃぁぁぁぁ」

 ネルの口から悲鳴があがった。ゾーイは叫んだ。

「セイさん、今度はむこうのターンのようだよ」

 

 まわりを取り囲んでいたレッド・ドラゴンが、いっせいにこちらに襲いかかってきた。

 先ほどのセイの攻撃のおかげで、ほとんどのレッド・ドラゴンはすでに何個か首がなかった。切りそこねて首が、ブランとぶらさがったままのものもいる。

 不気味なレッド・ドラゴンの姿は、一部が欠けることによって、より醜悪さをきわだたせていた。


 残った頭はどれも目を血走らせた憤怒の形相で、敵意まるだしのままセイたちに迫ってきていた。切断面から噴きだす血がしたたり、赤いからだをさらに真っ赤に染めている。


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