第201話 ぼくが666体のレッド・ドラゴンを討つ!
「頼むよ。エヴァ」
セイはエヴァに両手のひらをあわせて、お願いすると、ゾーイのほうへ声をかけた。
「ゾーイ。きみはぼくと一緒にきてくれ。スピロとネルさんを守ってくれるだけでいい。スピロとネルさんは絶対にゾーイから離れないようにして——」
「ぼく、ひとりで666体のレッド・ドラゴンを討つ!」
「セイさん、無理をしないでください。大型ドラゴンを倒したら、すぐに手伝いに戻りますから」
エヴァが地面からピストル・バイクを呼びだしながら声をかけた。
「そちらこそ無理をしなくていい。きみたちはあのドラゴンに専念してくれ」
ピストル・バイクが地上に現われると、エヴァがマリアに声をかけた。
「マリアさん、行きますよ。くれぐれも振り落とされないようにしてください」
「だぁーれに言ってやがる、エヴァ。オレはおまえのバイクには乗り慣れてるよ」
エヴァはピストル・バイクにまたがると、ハンドルの調子を確認しながら言った。
「今回は空中でドラゴンを追うのですよ。生半可な操縦になりません」
「お、いいねぇ。一度ガチの空中戦やってみたかったんだ」
「わたしはやりたくはないですよ。でもそれくらいしないと、あれは追いつけません。だから振り落とされないようお願いします」
「は、だれに言ってる? オレがあいつをバッチリぶった切ってみせるよ。それよりエヴァ、バズーカーをぶっぱなして、一撃で終わらせるような無粋なマネはすんなよ」
「それで倒せそうにないから、セイ様があなたとわたしをペアリングしたんでしょうに」
「ますます腕がなるよ」
そう言ってマリアがピストル・バイクの後部座席にまたがった。バイクがすーっと垂直に上にあがっていく。
「セイ、そっちは頼んだぞ」
すでに10メートルほど上昇したピストル・バイクから、身を乗り出すようにしてマリアが声をかけてきた。セイが真上をみあげると、エヴァのすこし心配げな表情が覗いていた。
「まぁ、こっちも数で押しきってみせるさ」
セイは街中を埋め尽くして、こちらの出方をうかがっているレッド・ドラゴンを見ながら言った。
「でもやつらは大ドラゴンを簡単に討たせてはくれないと思うよ。あいつらが空を翔んで邪魔をすると思う。そのときはそっちの領域だ。マリア、キミが責任をもって片づけてくれ」
「ああ、了解だ。まぁ、エヴァの操縦の腕次第だがな」
「言ってくれますわね。マリアさん。あなたこそ、はしゃいで振り落とされないようにしてください!」
マリアとエヴァが空に舞いあがっていくと、セイはゾーイにむかって言った。
「ゾーイ。守りは任せたよ」




