表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
669/932

第194話 ブラム・ストーカー殺される

「フロイトさま、これはわたくしたち未来人に対抗する悪魔のルール、のようなものです。悪魔はひとのからだを乗っ取ることで、この世界に手を出すことができるのですが、そのときにその人物のもつ思考や想像力や創造の源などを利用して、自分の配下を作ることができるのです」


「ほら、みんなも前回みただろ。あたいらがミアズマって呼んでいたあのバケモノ」

 ゾーイがむずかしい言い回しをするスピロを援護するように声をあげた。

「あいつはコナン・ドイルさんの指摘どおり、『プロビデンスの目』をモチーフにして創造されたもんだったんだ。そしてあれはフリーメーソンに所属していた王室の侍医ウィリアム・ガル卿の力を借りたものだったんだよ」


「古代ギリシアのときには、『デウス・エクス・マキナ』の力を得るために、悪魔は喜劇詩人アリストパネスさんを殺しましたからね」

 エヴァはいまいましそうに言った。その口調からは、あの失敗を引きずっているのが見てとれた。


「ちょ、ちょっと待ってくださいよぉ」

 コナン・ドイルがいきなり割って入ってきた。

「ーーってことはなんです?。次の現場にはブラム・ストーカーさんの創造物、ドラキュラが現われるってぇことなんですか。いやぁ、そりゃ勘弁してほしいなーー。あたしゃね、血がどうにも苦手でしてね。ええ、だから外科医とか、血をみるような——」


「アーサー。そんなことはどうでもいいんだよ!」

 マシュー・バリーは苛立ちをコナン・ドイルにぶつけた。


「今回はブラム・ストーカー氏の番だったが、このままつづけたら次はボクらのだれかが悪魔にやられるってことだよ」


 室内がしずまりかえった。

 だれもが薄々感じながら口にできなかったことを、あからさまに語ったのだ。


「おい、ジェームス!」

 マリアがマシュー・バリーをにらみつけた。

「今回で終わりにすりゃいいだろうが。勝手に未来に怯えてんじゃねぇ」


「だが、俺様はもうこれ以上こんな危険なことに足を突っ込むのは勘弁だな」

 スティーブンソンがマリアを否定するように言った。

「歴史に残る連続殺人事件ってぇのは魅力的だったが、殺される危険性があるんじゃあ、たまったモンじゃねぇ」

「ああ、そうだね。ロバートの言うとおりだ」 

 ワイルドも意見する。


「僕も命を賭してまで、この件には深入りはできそうもない。エイブラハムの亡骸を前にして泣き崩れているフローレンスの姿を見たあとではとてもね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ