表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
666/932

第191話 ネルを知る男

「そうですね。お願いしておいたほうがいいでしょうね。第二の殺人までたったの7日間しかありません。しかもそれが一気に早まる可能性もあるでしょうし」

 スピロが言うと、ピーターは先ほどもらったコインをポケットに突っ込んで、手のひらをからにしてからもう一度さしだした。


「いくらくらいですの?」

 エヴァがうんざりとした顔で言うと、ピーターは値踏みするような目をスピロのほうにむけてから言った。

「一日1ポンド(現在の価値で24000円ほど)でどうだい?」

「ずいぶん、おおきく出ましたわね」

「それだけの働きはするぜ。実績はじゅうぶんだと思うけど……」


 スピロはエヴァに目で訴えた。

「ではまずは3日分を先払いということで……」

 

 スピロははやめにこの場所を離れたかった。空気はわるかったし、なによりこんな貧民街のど真ん中で、大金の話をしているのは危険がすぎる。

「では、ピーター。クロソフスキーさんの張り込みをお願いします。なにかおかしな動きがあったら……」


 そのとき、路地のむこうから、野太い男の声がした。

「フランシス。フランシスじゃないか」


 見ると50過ぎほどの髭面の男がこちらに歩み寄ってきた。

 彼はセイたちを無視して、ネルの元へ駆け寄り抱きつこうとした。ネルがそれとなく手を前につきだして、それを拒否した。

「なによ、ジェームズ。あんた、別におんなができたんじゃないの?」

「フランシス、なにを言うんだ。濡れ衣さ。むかし馴染みのおんなとちょっと話込んでただけで、べつにオレのおんなっていうわけじゃない」

「へぇ。船員さんっていうのは、いたるところに女がいるから信用できないわね」


「いや、いや、フランシス。おまえさんだって、オレっていう男がいながら……」

 男はそこまで言って、まわりにいるセイたちに気づいたらしく声を急にひそめて言った。

「街娼の仕事をしてるだろ」

「あんたがわたしを食べさせられるだけ稼いでくれれば、そんなことしなくてすむのよ」

「よく言う。いくら貢いだと思ってる?」

「まぁ、いいわ。わたしは今、そんなことしなくても食べていけるから、あんたに気にかけてもらう必要はないの?」


「どういうことだ?」


 ネルはジェームズに、セイやスピロたちを、手をひろげて紹介した

「このお金持ちのお坊ちゃんとお嬢さんにね、とびっきり高収入でやとわれているよ」

 ジェームスはすこし面喰らっていた。

「このって…… 子供じゃないか?」


「ろくでもない年寄りも、よっぽど頼りになるのよ。ほかのおんなにちょっかいかけないしね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ