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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第190話 『慈善事業』とやらでぜひ力になってやってくれ

「第一発見者だったのですか?」

「ああ……、どうやらそうらしい」


 セイはおどろいて、スピロと顔をみあわせた。

「そんときゃ、またそんな与太話をと思ってたが、そのあと、あの騒ぎだろ。ここんとこ連日、新聞に書きたてられて、オレも驚いてンのさ」

「その同僚のチャールズ様という方は今、どこに?」

「今日も休みだよ。ここんとこ、ロンドン警視庁で聴取に呼ばれててね。なにせ第一発見者だからね。まぁ、そんなことがあったから、日にちは間違えてねぇんだ」


「それでクロソフスキー様をみたのは何時ごろでしょう?」


「夜中の2時ごろにパブで見かけたのさ。オレはあいつのところで、髪を切ってもらってンで、顔はよくおぼえてンのさ。まぁ、おおかた娼婦でも物色してたンだろうな」


「パトリック様、あなたはなぜそんな時間にパブに?」

「は、こんな仕事してんだぜ」

 パトリックが肉切り包丁を掲げてみせた。

「すこしくらい酔いがまわってねぇと、仕事なんかできやしねぇだろ」

 

「パトリック、やっぱり飲んでたんだね」

 ピーターがうんざりした表情で言った。

「そりゃそうさ。おまえだって、こんな仕事をしてたら、おなじようになるさ」

「昔、手伝ったことあるけど、酒なんかの世話になんかならなかったよ」

「ああ、そうだったな。ピーター、おまえ、けっこういい腕してたな」

「あんまりにも稼げないから、もうたくさんだけどね」


 そう言うと、ピーターはスピロにむかって「もう戻ろうぜ」と退室をうながした。

それにしたがってスピロは踵をかえしかけたが、パトリックが手を前に差し出しているのに気づいた。スピロが近づくとパトリックは耳元で囁いた。


「ああ言ってるが、あいつは、ストリートのちびっ子の世話のために、仕事をやめたんだ。あんたらカネもってるンだろ。いまはやりの『慈善事業』とやらで、ぜひ力になってやってくれねぇか」


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「これでクロソフスキーを容疑者から外せなくなりました」


 ピックフォード社の肉解体工場をでたところで、スピロはセイたちに言った。


「そいつにぼくらがはりついていてもいいぜ」

 ピーターが手を出しながら、上目遣いに言ってきた。

 スピロはすこしだけ申し訳なさそうにして、エヴァのほうに目をやった。エヴァはそのために連れて来られたのを覚悟していたので、なんのためらいもなくピーターの手のなかにコインをおいた。

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