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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第189話 毒殺魔ジョージ・チャップマン

「なにかされたのかい?」


「ううん、セイ。でも顔がこわいの」

「うん、気持ち悪い」

「おヒゲもこわい……」

 子供たちは好き勝手に悪印象を口にする。


「エライ嫌われようだな」

「マリア様、バカにはできません。もしかしたら、子供だからこそ本能的にわかるのかもしれません。クロソフスキーのなかにある狂気のようなものが……」


「彼はのちにジョージ・チャップマンと名を変え、三人の妻を次々に毒殺するのですから」

「手口はちがっても、人殺しは人殺しってことか……」


 スピロはこれだけ嫌われる男に、がぜん興味が湧いた。

「今回の事件が起きる前に、クロソフスキーの居場所がわかっていれば、と悔やまれますね」


「あぁ、スピロさん。ぼくの知り合いの肉屋さんで、あの日の朝方クロソフスキーを見たって言ってる人がいるんだけど、興味あるかい?」

 スピロの目がおおきく開いた。


「えぇ!、ピーター。それはもちろん。ぜひ話を聞いてみたいです」


 ピーターは満足そうに口元を緩めた。

 かかったぞ、という不敵な笑みに感じられた。

 ジョンやマイケルたち、ちびっこたちは、期待に満ちた目をむけている。


 ピーターが手に握った数枚の銅貨を上に放り上げて、ジャラっと音をさせた。

 スピロはため息をついた。



「待っててください。エヴァ様を連れてまいります」


------------------------------------------------------------


「肉屋の朝は、はえぇからな」

 ホワイトチャペルにある肉解体業のピックフォード社の作業場は、あたり一面、血の臭いでいっぱいだった。

 パトリックと名乗ったその男は、セイよりもおおきいかなり大柄の男だった。このホワイトチャペルでは、栄養がたりず住人は総じて背がひくいだけに、その体躯は目をひいた 彼は血のついたレザー・エプロンに、肉切り包丁をもって、にこにこ笑いながら現われた。


 今回のメンバーは、セイ、スピロ、エヴァ、そしてネルだった。


 ピーターが証言をうながした。

「パトリックさん。このあいだの事件のときの話をしてよ」

「ああ」

「パトリック様、お待ちください」

 スピロが手でパトリックを制した。

「あなたがクロソフスキーを見たというのは、ほんとうにメアリー・アン・ニコルズさんが殺された朝方でまちがいないのでしょうか?」


「ああ、間違いねぇ。あの日、うちのカート運転手のチャールズがめずらしく遅刻してきたからね。『てめぇ、遅刻してんじゃねぇ』って怒鳴ったら、あの殺人事件のせいで遅刻したって言い訳してきたわけさ」


「チャールズ?」


「ああ、チャールズ・アレン・レクミアっていうヤツだ。出社途中におんなの人が殺されているのを発見したらしい。あいつは、あわてて通りがかりのヤツと一緒に、警察を呼びにいったんだが、それで時間をとられて遅刻したっていうのさ」


「第一発見者……だったのですか?」

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