表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
645/932

第170話 ロバート・スティーヴンソンのフーダニット2

 スティーブンソンがすこし照れるように、苦笑いした。


「いやはや、まいったな。そこまで浸透しているのでは、オスカーのネタバレに目くじらをたてる必要すらない、ということだね」

「いや、すまなかった、ロバート。それにしても、それほどまでに未来の人々に知られてるというのは、少々嫉妬したくなるほどだね。おそれいったよ」

「言ってくれるね、オスカー。まぁ、俺様の作品は唯一無二のアイディアだからな。このどんでん返しを超えるような作品は、後世にも生まれてないだろう。うわはははははは……」


 スティーブンソンが大笑いした。よほど気分が良いのだろう。セイはそれがひとを見下すような高笑いに聞こえて、すこし苛立った。ほかのひとたちをみると、こころなしか萎縮しているように見える。


「残念ですが、多重人格者が犯人、という『どんでん返し』は、あとからいくつも書かれるのです」

 スピロが上機嫌な彼の様子など、まったく気にも留めようともせず言及した。スティーブンソンの高笑いがとだえた。

「は、どうせ、俺様の二番煎じだろ。ろくでもない作品に決まっている」


「そうでもないのです。どちらかと言いますと、そちらのほうが有名で……」


「なにぃ。まるで俺様の書いたこの作品は絵空事だとでも? そこのウェルズとかいう若造の『透明人間』とおなじように」

「いいえ。あなたの作品より有名な作品も、たくさんあります」

「なんでそうなる? 真相はおなじなんだろう。だったら俺様の作品の剽窃(ひょうせつ)じゃねぇか」

 スピロは首をふった。

「いいえ。まったくちがいます。スティーブンソン様の作品のように、薬で入れ替わるというものではなく、精神の疾患による病気として、多重人格者は扱われているのです」

「なんだ。その精神の疾患ってぇのは⁉」


「そこにいらっしゃるフロイト先生が発見したものです。この疾患の発見が、その後の作品における、多重人格者という存在に説得力を与えたのです」

「なんだとぉ!」

 スティーブンソンはなにかそれ以上なにか言いたげだったが、フロイトをじろりとひと睨みしただけで黙り込んだ。スピロがフロイトに申し訳なさげに、苦笑いをなげかけてから話を続けた。


「たとえば、もっとも有名なものでは、アルフレッド・ヒッチコック監督の手によって映画になった作品があります」


「あぁ…… あれですね」

 エヴァが相槌をうった。セイはそれほど詳しくなかったので困惑したが、たぶん有名な作品なのだろう。スピロはエヴァのほうに目をむけて続けた。

「映画と多重人格は親和性が高いのでしょうね。ネタバレになるので、作品名は申しあげられませんが、おどろくほどたくさんあります。おそらく有名スターであれば、一度は演じたいジャンルなのだと思います」


「たとえば、レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、ロバート・デ・ニーロ、リチャード・ギア、ミッキー・ローク。ジョン・キューザック、クリスチャン・ベール。女性ではナタリー・ポートマン、ハル・ベリー、ジョアン・ウッドワード。そうそうエヴァ様が大好きなジョニー・デップさんも演じていますわね」


==========================================

上記の俳優が出た多重人格者の映画のタイトルの、答え合わせは次回の巻末にて

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ