表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
644/932

第169話 ロバート・スティーヴンソンのフーダニット1

「おいおい、ワイルド。ネタバレとはアンフェアじゃねぇか。ここで俺様の作品のどんでん返しサプライズ・エンディングをばらすとはな」

 ロバート・ルイス・スティーヴンソンはいささか怒り気味だった。

「いや、すまなかった。だが、きみの作品はここにいる者はみな読んでいるから、オチは知っている」


「ここにいる連中と言っても、そこの未来人たちの顔をみろ。ポカンとしてるじゃねぇか。ワイルド、貴様が一番大事な部分をバラすからだ」

 スティーブンソンはさらに怒りをつのらせているようだった。その様子をみてセイはハッとした。今のやりとりに驚かされたのは確かだったので、自分たちはそういう顔をしていたのかもしれない。

 セイはあわてて否定をしようとしたが、ゾーイのほうが早かった。


「あ、いえ、スティーブンソンさん。ちがうんだよ」

「ちがう?。なにがちがう。ワイルドがばらした真相に驚いたンだろ」

「そうじゃないのさ……。あんたの作品、有名なもんだからさ、ジキル博士とハイド氏が同一人物ってぇのが、どんでん返しだった……、ってぇことに、みな驚いてんのさぁ」

「ど、どういう意味だ?」

「あたいらのいる未来じゃあ、ふたりが同一人物だ、というのは常識になっててねぇ……、まさかそこが作品の『売り』だとは思わなくて……」

「ええ、わたしもびっくりしました」


 エヴァがゾーイに続いた。彼女はまだ驚いた表情を引っ込めきれてない様子だった。

「だって、わたくしたち、性格が豹変するような人を揶揄(やゆ)するときに、『ジキルとハイド』って言ってますわ」

「は、まったくだ。アニメ『Fateフェイト』シリーズでも、ふつうに二重人格者として出てくるモンな」

「うん。ぼくのやってたゲームにも『獣神化』する、『ジキルハイド』っていうキャラがいたよ」

 マリアとエヴァに続いて、ついセイもつられるように言った。そのせいで、今度はスティーブンソンのほうが、唖然とする顔をすることになった。


「スティーブンソン様。そんなに驚かれなくてもよろしいでしょう」

 スピロが落ちついた口調で、スティーブンソンに言った。


「ネタバレしていても、あなたの作品の評価がさがるわけではありません。世界で初めて心理学によって、人間の心の闇を描いたとされてますし、セイ様たちが言っていたように、『ジキルとハイド』という名前は、生活に溶け込んでいるのです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ