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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第162話 H・G・ウェルズのフーダニット(誰が殺したか?)2

「後年書かれる大変有名なミステリ小説のなかに、パーティーにむかう客でいっぱいの列車内で、殺人事件がおきる、とういうものがあります。被害者はだれからも嫌われる人物だったので、パーティー客のなかに犯人がいると思われたのですが、実は切符をきる車掌が犯人であった、という真相です」

 ブラム・ストーカーが感心したようにうなずいた。

「なるほど……。私は舞台をやっているのでわかるよ。舞台で言えば、俳優が演技をしているなかに、舞台装置を動かすために裏方が現われても、観客はそれが配役のひとりだとは思わない、ということだね」


「ええ。観客や読者は無意識のうちに、こう言った人物を、視界から消し去るんです」


「たとえば、ほかにも衆人環視のなかで殺人が行われる有名な短編があります。4人の男が見張っている家で殺人があったのに、『ひとの出入りはなかった』、とだれもが証言するのです。まぁ、その犯人は『郵便配達員』でしたけどね」


「なるほどねぇ……」

 コナン・ドイルが感心しながら、手を挙げた。

「でも、それでしたら……」


「犯人が女性っていう可能性はありますよね。警官の注意もひかず、犠牲者の疑いも招かず接近できているんですから。まぁ、そんときゃ『ジル・ザ・リッパー』ってぇことになるんでしょうが」


「なるほど、アーサー。それもたしかに『透明人間』になりうるよ」

 マシュー・バリーが感嘆の声をあげると、リンタロウが別の意見を示唆した。


「アーサー、さすがです。それを聞いて、小生は女装した男の可能性もある、と思いました。いかがでしょう?」

「リンタロウさん、その案、いただきましょう」


「ま、まぁ……そうだな。では次回の切り裂きジャックの犯行のときには、この『透明人間』に注意をはらえばいいのだな」

 スティーブンソンが不承不承という顔で言った。


「はい。さて、ほかに犯人像を推理できた方はいらっしゃるでしょうか?」



「もしかしたら、性的に未熟な人物ではないだろうかね?」

 ジェームス・マシュー・バリーが声をあげた。

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 アーサー・コナン・ドイルはこの『切り裂きジャック』事件について、言及したことはなかった。まさに同時代でありながら、シャーロック・ホームズと対決させることもしなかった。

 だが後年、孫に問われる形で、持論を語っている。


 犯人は女性「切り裂きジル(ジル・ザ・リッパー」

 理由は被害者たちから男性よりも信頼されやすいこと。

 犯行内容から犯人は衣服に血が付いたにも関わらず、目撃者がいなかったこと。

 つまり、衣服に血がついていても疑われない助産婦、あるいはそのように装っていた人物、もしくは女装をしていた男性ではないかということだった。


 またシャーロック・ホームズと切り裂きジャックが直接対峙することはなかったが、ファンのあいだでは、実は作中でさりげなく言及されているとされている。 

 それは長編『バスカヴィル家の犬』。

 この作品でホームズは「他の事件で忙しく、ロンドンを離れられない」という理由で、ダートムアへワトソンひとりむかわせる。

 後半ようやく登場すると「実は身を隠して事件を探っていた」と言い訳するが、実際には『切り裂きジャック』を追っていたのではないか、ということらしい。


 こちらは推測の域をでないが、どうしても切裂きジャックとホームズを対決を見たかったのだろう。その後の作家たちによって、パーティッシュで『ホームズ対切り裂きジャック』はいくつも書かれている。

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