表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
620/932

第145話 コスミンスキーの居場所を確認

「そういうことだよ。アーサー」

 マシュー・バリーがマリアのことばを受け取って、ドイルに問いかけた。


「はて、そりゃ、どういう?」


「この真夜中に、どこの工場が稼動して、どこの汽車が動いているっていうんだ!」

 ようやく合点がいったのか、コナン・ドイルがはたと手を打った。

「ああ。なるほどねぇ。いやぁ、あたしのような田舎もんでは、とんと気づきゃしませんよ」

「ちょっと待ってくれ、アーサー」

 コナン・ドイルのしょうもない言い訳を、マシュー・バリーが真顔で制した。

「おかしい。コスミンスキーの部屋、突然ひと気が感じられなくなった」

「ジェームス。おかしかないでしょう。こんな時間ですよ。寝たにきまってるじゃないですかぁ」

「確認しようじゃないか」

「ど、どうやってぇ?」


「部屋にちかづいて、じかになかを覗くしかないだろう」

「部屋ンなかを覗くぅ?。ジェームス。いきなり襲われたら、ど、どうすンですかぁ」

 なかば本気でおそれおののいているコナン・ドイルに、バリーはうんざりとした目をむけた。

「アーサー、君はボクシングができるのだろう。もし何者かに襲われたとしても、君だけは自分の身を守れるだろう」

「いや、だって……、そのコスミンスキーって人、精神が病んでる、ビョーキだって話じゃないですかぁ」

「アーサー、君は医者だろ。病気をなおす専門家が、そんなにこのコスミンスキーをおそれてどうするのかね

「いや……、そう言われましてもですねぇ。こころの病は専門外でしてぇ……」


 なおも尻込みするドイルをマシュー・バリーが、背中に力をこめてなかば強引に前に押しだした。

「さぁ、確認しようじゃないか」

 そう言うや、マシュー・バリーは堂々と通路を横切ると、明かりの漏れているコスミンスキーの部屋の下まで近づいた。見つからないよう距離をとっていたことなど、すっかり忘れた風で、薄汚れたガラス窓から中を覗き込もうとした。だが身長160センチほどしかない小柄のマシュー・バリーは、必死で背伸びをししてもギリギリ目線が届かないようだった。


「アーサー、すまない。ボクの身長ではどうにも内部をうかがいしれん」

 そうマシュー・バリーに促されたが、コナン・ドイルはどうにも近づきたくないらしく、「ジェームス、ぼくが君を持ちあげるから、自分の目で確認してみてくれないか」と提案してきた。


「おい、アーサー!!。おまえ、なんて言い草だ。背の低いのバカにすんじゃねえぞ!」 

 マリアがバリーより先に声をあげた。自分の背丈のことを小馬鹿にされた気分になって、つい声がおおきくなる。

「し、しずかに!。マリアさん」

 おどろいてドイルが口元に人さし指をあてがったが、マリアはそんなことかまわず、さらに怒鳴りつけた。

「アーサー、さっさと部屋ンなかをのぞけぇ!」

 その剣幕におそれをなしたのか、コナン・ドイルは巨体を前につんのめらせるようにして窓にちかづいた。

「ややっ、だれもいない!!」


「い・な・い・だとぉ。ずっとオレたちはあの部屋と、あの建物の入り口から目を離さなかったはずだぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ