表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
597/932

第122話 ピーターとの再会

「なにを協力しろって?」


 話をもちかけられたピーターは、うさん臭げな目でセイたちをなめまわした。


 イーストエンドにやってきたのは、セイ、スピロ、エヴァにフランシス・コールズこと赤毛のネルの4人だった。ネルの庭のような場所では、ピーターを見つけるのはおどろくほど簡単だったが、そのあとの交渉はすんなりとはいかなかった。


 怒気がまじったピーターの答えに、あわててネルがすり寄るようにして言った。

「ピ、ピーター、なにヘソ曲げてんだい。あんたにとってこれは大チャンスだよぉ。なにせ、お金をたんまりはずんでくれるし、依頼もあんたのお得意のひと探しだよ」

「それはいいよ、ネル。なんであんたがそちら側にいるんだい?」

「いやね。あたいがこのひとたちと行動をともにすれば、60ポンドくれるというのさ。おかげでパーティーに参加できたり、毎日ふかふかで清潔なベッドで寝れたりと、贅沢な生活をさせてもらってるよ」


「そいつは良かったじゃないか……」

 そう言いながらもピーターの目から、警戒の色は解けていない。ネルもそれを感じ取ったのか、ピーターの耳元でささやくように尋ねた。


「ピーター、なにが気に入らないんだい?」


 ピーターはネルに猜疑(さいぎ)の目をむけてから、セイを見つめた。


「あんたらがぼくのことを知っていて、その腕前を買っている、なんて言っているからさ……」


「だけど、ぼくはこあんたらのことを知らない。ぼくは記憶がいいほうだ。たとえすれちがった程度でも、あんたらの風貌を忘れるわけがない」


 セイはピーターの顔をまじまじと見た。

 彼はあいかわらず大人びた表情をしていたが、今はあの時のような、ゆったりと落ち着き払っている様子はみられない。

 話が突拍子もなさすぎて混乱しているのだろうと、セイは思った。


「ピーター。信じてもらえてないようだけど、ぼくらは本当に未来からきた人間なんだ。以前、ぼくらは別の次元のきみと出会って、仕事を依頼したんだ。今ここにいるきみがぼくらを知らないのも当然だ」


「未来?。別の次元?。まったくなんのことを言っているのか」


「だろうね。ごめん。うまく説明できなくて、でも前回はここにいるネルさんを探してもらったんだ。マイケルやジョンも協力してくれて、すぐに見つけてくれた」


「ちょ、ちょっと、マイケルやジョンのことを知ってる?」

「あぁ、いつも掛け合いしているおちびちゃんたち」

 ピーターは額に手をやって、なにかを考えはじめた。

 マイケルとジョンの名前がでたことで、セイたちとほんとうに一度会っているかもしれない、と考えてくれているのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ