第122話 ピーターとの再会
「なにを協力しろって?」
話をもちかけられたピーターは、うさん臭げな目でセイたちをなめまわした。
イーストエンドにやってきたのは、セイ、スピロ、エヴァにフランシス・コールズこと赤毛のネルの4人だった。ネルの庭のような場所では、ピーターを見つけるのはおどろくほど簡単だったが、そのあとの交渉はすんなりとはいかなかった。
怒気がまじったピーターの答えに、あわててネルがすり寄るようにして言った。
「ピ、ピーター、なにヘソ曲げてんだい。あんたにとってこれは大チャンスだよぉ。なにせ、お金をたんまりはずんでくれるし、依頼もあんたのお得意のひと探しだよ」
「それはいいよ、ネル。なんであんたがそちら側にいるんだい?」
「いやね。あたいがこのひとたちと行動をともにすれば、60ポンドくれるというのさ。おかげでパーティーに参加できたり、毎日ふかふかで清潔なベッドで寝れたりと、贅沢な生活をさせてもらってるよ」
「そいつは良かったじゃないか……」
そう言いながらもピーターの目から、警戒の色は解けていない。ネルもそれを感じ取ったのか、ピーターの耳元でささやくように尋ねた。
「ピーター、なにが気に入らないんだい?」
ピーターはネルに猜疑の目をむけてから、セイを見つめた。
「あんたらがぼくのことを知っていて、その腕前を買っている、なんて言っているからさ……」
「だけど、ぼくはこあんたらのことを知らない。ぼくは記憶がいいほうだ。たとえすれちがった程度でも、あんたらの風貌を忘れるわけがない」
セイはピーターの顔をまじまじと見た。
彼はあいかわらず大人びた表情をしていたが、今はあの時のような、ゆったりと落ち着き払っている様子はみられない。
話が突拍子もなさすぎて混乱しているのだろうと、セイは思った。
「ピーター。信じてもらえてないようだけど、ぼくらは本当に未来からきた人間なんだ。以前、ぼくらは別の次元のきみと出会って、仕事を依頼したんだ。今ここにいるきみがぼくらを知らないのも当然だ」
「未来?。別の次元?。まったくなんのことを言っているのか」
「だろうね。ごめん。うまく説明できなくて、でも前回はここにいるネルさんを探してもらったんだ。マイケルやジョンも協力してくれて、すぐに見つけてくれた」
「ちょ、ちょっと、マイケルやジョンのことを知ってる?」
「あぁ、いつも掛け合いしているおちびちゃんたち」
ピーターは額に手をやって、なにかを考えはじめた。
マイケルとジョンの名前がでたことで、セイたちとほんとうに一度会っているかもしれない、と考えてくれているのかもしれない。




