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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第119話 金さえだしゃあ、汚れ仕事は免除ってか?

 すぐに見つけてくれる——。


 スピロは自信満々にそう答えた。

 が、エヴァはどうやらその案に不満のようだった。


「ピーターに?。スピロさん。すなおにアバーラインさんにお願いしては?。警察もわたしたちも、利害は一致するのですから、気持ちよく協力してもらえるでしょう」

 

「エヴァ様。それはおすすめできません……」


ホワイトチャペル(あの街)のひとたちが警察に協力なんぞしてくれるわけがないからです。ぎゃくに警察絡みとなれば、あっと言う間に隠されてしまうかもしれません。それこそ警察嫌いのピーターのような、てだれの連中の手でね」


 もっともな反論に、エヴァが軽くため息をついた。

「えぇ、そうですわね。スピロさんのおっしゃるとおりですね……」

「は、エヴァ。おまえ、あそこに行きたくねぇンだろ」

「あたりまえですわ、マリアさん。あんなヘドのでるようなきたない場所……」

「だが、そうはいかねぇぞ。だいじな金づるのおまえがいなきゃ、ピーターは指一本動いちゃくれねぇからな」

「えぇ、わかってます。だからわたしはアバーラインさんたちに、押しつけたかったんですけどね」

 エヴァが心の底から嫌そうに顔を歪めたので、セイは気分をやわらげようと提案した。

「エヴァ。きみは留守番でいいんじゃないかい。お金はあらかじめ出しておいてもらえれば、イーストエンドに行くのも、交渉もぼくらがやるよ」


「なんだ、セイ。金さえだしゃあ、汚れ仕事は免除ってか?」


「あ、いや、マリア。そ、そういうわけじゃないよ」

「いいって。金のないオレたちは、せいぜい汚れ仕事にはげむとするよ」

 マリアがわざとらしく当てこすりをしてきた。

 その口調はすこし冗談めいていたので、すねてるだけかと感じた。セイはどう答えようかと思案したが、その前にスピロが口を開いてマリアに言った。


「マリアさま。ご心配なく。やることはいっぱいあります。探さなくてはならないのは、ニコルズ様ひとりだけではありませんからね」


「ほかにだれを探すっていうんだ」


「もちろん、犯人、切り裂きジャックジャック・ザ・リッパーの容疑者です」


 セイはスピロの言っている意味がわからず、つい疑問を口にした。

「ちょ、ちょっと、スピロ。切り裂きジャックは、被害者のメアリー・アン・ニコルズさんの犯行現場をおさえて捕まえるんじゃあなかったのかい?」

「ええ、もちろんです。セイ様。ですが……」


「犯人と目されている人物の元に、あらかじめ張り込んでおけば、現行犯逮捕できる可能性は飛躍的に高くなります」



「お姉さま。そいつはあの、ウォルター・シッカートっていう御仁かい?」

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