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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第104話 ジェームス・マシュー・バリー

 そう紹介されたジェームス・マシュー・バリーは自信ありげに一度咳をはらった。


 だがセイは隣に座っているコナン・ドイルが、手でひさしをつくって、顔を見えないようにしていることに気づいた。

 よく見ると首元をおおうようにジャケットの襟をたてて、そのおおきな体躯をちぢこまらせてもいる。あまりに挙動不審に感じられて、セイはおもわず声をかけた。

「ドイルさん、どうしたんです?」


「ドイル?」


 マシュー・バリーがその名前に即座に反応した。

 こそこそとした態度をとっているコナン・ドイルに視線をむけて、まじまじと見すえる。


「アーサー?」


 コナン・ドイルの肩がぶるっとふるえた。

 バリーはうれしそうに顔をほころばせた。


「アーサー!。アーサー・コナン・ドイル!」


 フルネームで呼ばれてかんねんしたのか、ドイルはそろりと顔をあげて弱々しい声で「や、やぁ、ジェームズ」と言った。


「なんだ。アーサー。水臭いじゃないか。いつロンドンにでてきてたんだよ」

「ジェームス、知りあいかね?」

 ワイルドが水をむけると、バリーはコナン・ドイルを手で指し示しながら声をはった。

「知りあいもなにも、エディンバラ大学の同窓ですよ。まぁ、アーサーの方が一学年上でしたけどね。いや、そんなことはどうでもいい。アーサー、キミはどうしてこのパーティーに参加を?」


「あ、いや、それが、まぁ……、話せば長くなるんで……」


「たしかサウスシーで開業医をやってるって聞いてたが……。もしかしてキミと一緒につるんでいたジョージ・バッドと一緒にやってるのかい?」


「いや、あいつとはとっくに縁を切りましたよ、えぇ、すっぱりとね。これ以上ないほどにね。絶交です、絶交!。なにせあいつは突然開業したかと思うと、患者ほしさに『診察無料』とかかかげましてね。あたしも最初手伝ってたンですが、まぁ、あたりの医者連中から嫌がらせを受けることったら。それでほとほとまいっちゃったんですよ」

「だが、『診察無料』とはあの業つくばりの、太っちょバットも改心したものだな」


「なにを言ってンですかぁ、ジェームス。無料なのは診察だけですよ。あいつは適当に診断をくだしちゃあ、飲み切れないほどの薬を処方するんですから。ありゃ詐欺もいいとこです。あたしゃ、ずっとその片棒を担がされてましてね。そりゃ何度も注意しましたよ。あたしゃどちらかと言えば、自然治癒派でしてね……」


「ジェームス、ドイル君も本を出版しているそうなのだよ」

 ワイルドが言った。

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