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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第63話 このお嬢様たちを外へお連れして

 マリアとエヴァに勝手気ままに、辛辣なことばを投げつけられたアバーラインは、あきらかに当惑していた。

「あのぉ、お嬢様方。失礼だが、わたしをどなたか別の方とおまちがえではないでしょうか?」

 アバーラインは感情を抑えたやわらかい物腰で対応した。

「アバーライン警部補、まことに申し訳ございません」

 スピ口は取りつくろうようにわって入った。

「あなたのご高名をお伺いしておりましたので、つい(はや)ってしまいました」

「高名?。わたしは一介の警官ですよ」

「いえ、これから有名になるのです」

「有名ね……。お嬢さん、たいへん申しわけない。警察をからかうのは勘弁ねがえるかな。これでも忙しい身でね」

「このあと、そんな悠長なことを言っていられないほど忙しくなりますわよ。世界をゆるがす連続殺人事件の主任刑事としてね」

「連続殺人……。ずいぶんぶっそうなことを言うお嬢さんだ」

 アバーラインは手に負いきれないとばかりに、困った顔を浮かべて奥のほうへ声をかけた。

「すまん。ゴードリー、このお嬢様たちを外へお連れして」


 アバーラインにそう命じられた男、ジョージ・ゴードリーはでっぷりと肥えた男で、どことなく不潔感がただよう身なりをしていた。どこがそうかと言われても指摘するのが難しかったが、すくなくともゾーイの第一印象は好感触とはほど遠かった。

 ゴードリーはアバーラインの元にやってくると、こちらにうさん臭げな目をむけてきて言った。


「おい、売女(ばいた)ども。ここは警察署だぞ。昼間っからこんなとこで商売されても困るんだよ。さっさと出て行きな」

 あまりにも横柄な態度に、ゾーイは驚いた。おそらくここでは茶飯事の、紋切り方の対応なのだろうが、それにしても言い方というものがある。ティーンにむかって警官が投げかけることばとは、とうてい思えない。ゾーイはカッとした。


 ここは男役をしている自分がきっちり言うべきだ——。


 拳をぐっとにぎりしめ、半歩前に足を踏みだした。が、足がとまった。

 目の前のゴードリーはおおきく見開いた目を白黒させていた。彼のたるんだ顔いっぱいに汗がふきだしている。


 なに?——。


 よく見ると、ゴードリーのだぶついた顎の下に、いつのまにか刃があてがわれていた。

 日本刀だった。

 今の一瞬で、セイが日本刀を呼びだし、ゴードリーの首筋に突きつけていたのだ。


 いつ……、どうやって、抜いたの?。

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