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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第60話 切り裂きジャックの事件は5件以外にも……

「そ、それって……」

 セイがなにかに思いあたって口を開いた。が、それより先にマリアが答えを、会話に滑り込ませた。


「あの悲鳴かぁぁ!!!」


「えぇ、たぶんそうです。マリア様」

「じゃあ、なにかい?。あの薄気味わるいミアズマの断末魔の声こそが、いわゆる悪魔の囁きってことかい?」

 ゾーイは嫌悪感を隠そうとはしなかったが、逆にエヴァは合点がいったのか、むしろ晴々とした顔をしていた。

「まぁ、それは厄介ですこと。あのミアズマに襲われたら、能力を使って戦うしかないのに、敵を倒したらあの悲鳴で、ネルさんの未練の気持ちが上書きされてしまうだなんて」

「なんだよ。それじゃあ、オレとセイがいくら強くても、ナンもできねぇじゃねぇか!」

「はい。何度やってもおなじ結末になる可能性が高いかと……」

 マリアは膨れっ面ですねてみせたが、セイは目をキラキラさせて、スピロの顔を覗き込むようにして訊いてきた。

「で、スピロ、どうするつもりなんだい?」

 スピロは真正面からセイに見つめられて、一瞬ドキリとして動きがとまったが、すぐになにもなかったかのように事務的な態度を貫いた。

「わたくしはあのダイブから戻ってからすぐ、多くの資料をあたりました。するとスロール・ストリートの簡易宿泊所を根城にしている通称『赤毛(キャロティ)のネル』と呼ばれる娼婦がいたことが判明しました。本名はフランシス・コールズ、26歳」

「26歳!。は、そうは見えなかったぞ。あのおんな、まだそんなに若かったのか」 

 マリアが驚きの声をあげたが、スピロはそれを無視して続けた。

「ですが、その赤毛のネルが殺されたのは、切り裂きジャック事件から二年以上経ったあとなのです」


「二年……、時代が合わないし、切り裂きジャックとは関係ないじゃないですか?」

 案の定、エヴァが当然のように疑義をていしてきた。その口調はすこし非難めいた色合いを帯びている。

「はい、わかっております。切り裂きジャックの事件は、1888年8月31日から11月9日までのわずか71日間に5人の女性が殺されたというのが公式の見解ですからね。ですが、実はその当時、その前にもあとにもおなじような事件があったのです」

「じゃあ、スピロ。きみの見解では、切り裂きジャック事件は、5件のあとにも続いていた、というのかい」

「セイ様、残念ながらそこまでの確信はもてません。ですが、わたくしは個人的にそういう結論に行き着きました。最初の事件がおきる前におきた数件の娼婦殺害事件、そして最後の事件が起きてからも続いた……」


「すくなくとも4件の娼婦殺害事件も、切り裂きジャックの仕業であったと……」

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