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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
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第28話 で、アタシとしたいのは誰なのかしら?

「で、アタシとしたいのは、だれなのかしら?」


 赤毛(キャロティ)のネルは、床下のトンネルからでてくるなりそう言った。彼女は目の前にいるセイたちをひととおり見渡すと、やおらセイの腕をつかんで引っぱった。

「なぁにぃ。男はあんたひとりしかいないじゃないのぉ?」

 妙に鼻にかかった甘ったるい声をセイにむけてきたかと思うと、ネルはふいに腕をひっぱってきた。その力が意外にも強引だったので、セイはあわてふためいた。

「ちょ、ちょっと、赤毛(キャロティ)のネルさん。ぼ、ぼくらはそういうつもりで来たんじゃ……」

「ピーターからアタシに用があるって聞きましたわ。用って言えばひとつしかないじゃないのぉ」

 ネルはセイのからだを艶めかしい手つきでなでまわしながら(ささや)いてきた。

「あ、いや……、そうじゃなくて……」

「わかってるわよ。あなたはじめてなんでしょう?。まぁ、間際になっておじけづくのはしかたないわ。まぁ、アタシにまかせてちょうだい。わるいようにはし・な・い・わ」

 そう言い寄りながら、ネルは豊満な胸をセイに押しつけてくる。視線がおもわず下をむく。セイはドキリとした。いまのいま、「こと」を済ませたばかりのせいか、ネルの襟元はゆるんでいて、胸元の谷間がことさらに強調されて見えた。

 セイは救いを求めるように、マリアやエヴァたちのほうに視線を泳がせた。

 が、全員が全員とも、顔をうつむいたままなにも言おうとしなかった。ネルの勢いに飲まれたのか、ことがことだけに口を差し挟めないのかわからなかったが、誰もとめだてしようとしてくれなかった。

「ネル、早合点しないでよ。そういうことで来てるんじゃないよ」

 ピーターがネルに声をかけた。でもよく見ると口元がにやついていて、あきらかに目の前の悶着(もんちゃく)をおもしろがっている顔をしている。

「ピーター、どういうことなのぉ。てっきり客をひっぱってきてくれたんだと思ったんだけどぉ……」

 ネルは口をとがらせてピーターに不満をぶつけたが、なにかを察したらしく、セイを脇に押しやると、今度はエヴァに近づいて、彼女の顎を上向きに持ちあげた。ネルは品定めをするように、エヴァの顔を右、左と横に傾けると、エヴァの顎をつかんだまま、スピロ、ゾーイ、マリアのほうをみまわした。


「ピーター、アンタ、まさかこの子たちの面倒をみてくれってことなのぉ?」


 そのひとことでエヴァは、自分たちがネルにどう見られているかに気づいたらしい。彼女はあわててネルの手をふりほどいた。スピロはとくに顔色を変えることもなく、目の前の状況をただ見ていたが、マリアとゾーイはエヴァにつられるようにあとずさった。

「ピーター、勘弁してちょうだぁい。こんな若い子にからだを張られてしまっては、こっちの商売が干上がってしまいますわ。それでもなくてもこの地区は、あいつがうろついているから、客引きだって簡単じゃないのよぉ」

「だぁからぁ、ネル。早合点しすぎだよ。そうじゃない……」


「ちがうのぉ?。えーー、まさかこの娘たちの相手をしろっていうことぉ?。ピーターぁ、それは無理よぉ。だって同性愛は法律違反なんだものぉ……」

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