表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
460/932

第109話 てめぇの正義もさぞ重たがろうが、こっちも色々背負ってんだよ

「【てめぇの正義もさぞ重たがろうが、こっちも色々背負ってんだよ】」


 マリアは日本語で毒づくなり、ロルフが押しつけてきた剣を力づくではねつけ、うしろにとびのいた。


「宗教を弾圧して平和がきたことはないわ!」


 ロルフと距離をとったはずが、一気にロルフが飛びかかってきた。剣を打ち下ろしてくる。アリアはその剣を横にして、それを受けた。

「弾圧ではない。懐柔だよ。指導者を心変わりさせることで、こちらに歩み寄らせるのだよ」

「は!、ロルフ。現実世界は21世紀なのよ。この時代、中世とはちがう。宣教師が布教の名のもとに、軍事や経済を支配しようとした時代のようにいくわけない」

 マリアはロルフの剣を上へはね上げた。そしてそのまま剣に『パワー』を注入して、一気に振り下ろした。両刃の剣の中心にあるむきだしの基盤から、稲光が走った。ロルフはそれを余裕の表情で受けとめようとした。


 が、光がまとわりついたマリアの剣に、ロルフの剣がふれたとたんなにかが爆発した。耳をおおうほどの衝撃音がして、ロルフがうしろに吹き飛ばされた。ロルフは剣を構えた姿勢のまま、ハギア・ソフィアの正面入り口の柱廊に激突する。ブロックを積み重ねた柱が砕け散り、破片をまき散らした。

「ロルフさん!!」

 レオンがおもわず声をあげたが、マリアはロルフがこれしきで、なんとかなる相手ではないとわかっていた。地面を蹴っておおきく跳躍すると、ハギア・ソフィアの入り口に飛び込んでいった。が、マリアがなかに飛び込もうとしたその瞬間、入り口付近の地面の空気が揺らいだのを感じた。

 地面がせり上がってくる——。

 その瞬間、土をはねあげて、地面のなかから『風の塊』が飛び出してきた。

 前回、なすすべもなくマルマラ海まで飛ばされた、あの強力な風のミサイル弾だ。

 マリアは剣の腹でそれを受けようとした。

 また飛ばされるわけにはいかないわ!。

 マリアはその塊に斬りかかった。剣先がゴンとなにか固いものにぶつかった。が、そのまま渾身の力でその固いものを斬り伏せた。真っ二つに切られた風が、マリアの両脇を轟音(ごうおん)をたてながら、すり抜けていく。その風圧を感じながら、マリアはハギア・ソフィアの入り口にむかった。

挿絵(By みてみん)


 ドーム屋根の印象からは想像もつかないほど重厚でごつごつした外壁が現れた。ブロックを幾層にも重ねた武骨な造りに驚く。

 ハギア・ソフィアはビザンチン様式の聖堂(教会堂)で、ドームを中心とする垂直軸を重視した空間設計と、ギリシャ十字形(集中式)の平面設計で構成されていた。

挿絵(By みてみん)


 バシリカ形式と呼ばれるこの建造物は、教会の主祭壇の反対側にある玄関前に『ナルテックス』という内部玄関ホールとも屋根付玄関ロビーとも言える、回廊のような施設が附設されていた。ここは教会の一部ではあったが、教会とは見なされておらず、洗礼志願者や悔悟者たちに礼拝を聞かせ、参加させる場所となっていた。とくに東方正教会(オルトドックス)では『受難週間』の懺悔の礼拝などがここで行われていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ