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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
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第87話 あのスピードの剣先を受けとめられるとはね

「あのスピードの剣先を受けとめられるとはね、まいったよ」


 マリアは剣と剣の隙間から、ロルフを見あげながらにっこり笑った。

「哀れなロルフ。あなたの剣には致命傷があるのよ」

「致命傷?。そんなものがあるはずが……」

「風を感じるの。切っ先が届くより先に、風があたしの頬をなでるの」

 それを聞いてロルフが、目を大きく見開いた。

「おどろいたな。今までだれにも見破られたことなどなかったのに。まさか……」

「ロルフ。みんな知ってたと思うわ。でもその剣を受けきれなかっただけ」

「だけどマリアちゃんはそれを受けきった」

「そりゃそうよ」

 マリアはロルフと剣をまじえたまま、(つか)(ヒルト)に力をこめた

 その瞬間、剣の幅が横におおきく広がった。マリアが手にしているのは、刃の幅が10cm程度もある幅広の「ブロードソード」だったが、それが一瞬で30cm以上の幅に広がり、厚みも一気に増して、分厚くなった。

「なるほどね。自在に剣を変えられるのか。まるで断頭台のギロチンの刃かと思ったよ」

「受ける必要がないの。瞬時に盾になってくれるから」

 ロルフは額に手をやり、まいったという仕草をしながら苦笑した。

「きみが銃弾や矢を防ぎながら、いっぺんに何人もひとを斬れるのはそういうことか……」

「まわりから残影にしか見えないでしょうけどね」

「さすがだ。きみがぼくらのチームにいないのが至極残念で仕方がない」

「あなたが、揚引揚者を助けるなら、いまからでもチームになれると思うわ。ロルフ。ねぇ、レオン」

 マリアはロルフのうしろにいるレオンにおざなりに声をかけた。レオンはヴラド・ドラキュラの前に盾になって立ちはだかっていた。レオンはこちらを睨みつけて言った。

「そうはいかないのさ。マリア」

「なにがよ!」

「残念だけどね、マリアちゃん……」

 ロルフはマリアに哀れむような目をむけて言った。

「バチカンから『ダイバーズ・オブ・ゴッド』にくだされた命令はそうではないんだ」

「どういうこと?。人の命を救うこと以上に、ただしい命令なんてはないと思うわ」

「いいや、あるのさ。キリスト教の神に仕えるものとしてね……」


 ロルフは威風堂々とした顔つきで言った。



「イスラムとの戦いに勝てと!」

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