表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
437/932

第86話 クソ野郎ってなじったほうがいい?

 マリアの振り抜いた剣は間違いなく、ヴラド・ドラキュラの首をとらえたはずだった——。


 すくなくとも十数センチまでには迫った。だが、刃はそのわずかな隙間で食い止められた。

 ロルフの剣だった。

 マリアは目を疑った。

 いまの今、すぐ脇をすり抜けて置き去りにしたはずだった。だがロルフはヴラドの首の間際で、剣を差し出してマリアの剣を受けていた。

 ロルフがマリアの剣を撥ねあげると、マリアはうしろにはね飛ばされた。マリアは正面で剣を構えたまま、得意満面の笑みを浮かべているロルフを見すえた。


「どういうこと?。あたし、あなたを出し抜いたはずよ」

「マリアちゃん、びっくりみたいだねぇ。でもぼくの力は『風』だよ。忘れたのかい」

「まさか、風のスピードで動けるっていうわけ?。そんなのチートじゃないのぉ」

「まぁ、そうだね。十二使徒に推薦されたのは伊達ではない……といったところかな」

「ノアから聞いたわ。おめでとうって言ったほうがいいかしら。それともこんなことをしでかして、クソ野郎(アシュロホ)って(なじ)ったほうがいいかしら?」

「相変わらず口が悪いねぇ。それにこんなことってなに?」

「あなたのやってることよ!。あなた、要引揚者を救おうとしないどころか、その人の前世の人物が望んでもないことをしようとしている。上にばれたら『十二使徒』どころじゃないんじゃなくって?。それともその使徒って『堕天使』を指すのかしら?」

「いいや、ぼくはなにも間違っていないし、このことで咎められることもない」

「どういうことなのかしら?」


「これこそがバチカンからの指令なのでね」

 そう言った瞬間ロルフのからだが陽炎(かげろう)のようにゆらめいた。

 マリアはロルフが襲ってきたのがわかった。

 風切り音と共にマリアにむかって剣が振り抜かれる。剣先はマリアの腕を叩き斬る太刀筋を描いたが、マリアは寸前のところでそれを受けとめた。

 二人の剣が渾身の力でぶつかりあって、刃が噛みあう耳障りな音があたりに響く。

 ロルフは上から力づくでマリアを押し込みながら言った。


「さすがだね。腕の一本は落とせるって思ったんだけどなぁ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ