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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
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第85話 ドラキュラ、覚悟ぉぉぉぉぉ

「ロルフさん。ジグムントにマリアを応援させては、マリアのパワーが……」

 レオンが不安げに声をかけてきた。

「レオン、心配はいらないよ。ジグムントがそう願えば、我々にもおなじように力をふりわけられるのさ。手に力を宿らせてみてくれ。先ほどまでよりパワーが宿ってンだろ」

 そう言いながら、ロルフは手のひらをぐっと握りしめた。握った手の隙間から目を刺すほどの鋭い光が漏れていた。

 うむ、いい感じだ。

 ロルフは光が漏れでるその手を剣に添えた。剣が剣先まで虹のようなスペクトラムに彩られた。

「ロルフさん、たしかに体の奥底から力が湧いてくるようです」

 レオンの声が嬉しいおどろきに弾む。

「レオン、その力でドラキュラ公を守ってくれよ」

「えぇ。もちろんですよ。これだけの力があれば、さっきみたいにトルコの大砲を受けとめながらでもやれますよ」

「過信しちゃだめさ。マリアはそんなに甘くない!」


 その時、正面から棚引くような声がきこえてきた。マリアが剣を抱えて空中を走りこんできていた。もうそれほど余裕がない。

「レオン、たのむ」

 ロルフは剣を構えた。


「ロルフ!。この重切り者ぉぉぉぉぉ!」


 マリアの声がとびこんでくると同時に、その小さなからだがさらに上空に踊った。こちらにむかって大きく跳躍すると、その勢いのまま剣をふりおろしてきた。

 ロルフは剣をかざしてそれを受けた。


 重いっっっ!


 剣を交わしたそのままの姿勢で、からだがズンと地面に沈みこみそうに感じられる。


 なんというパワだぁぁぁぁー!!。


 幼女の見た目に油断したわけではないはずなのに、その小さなからだから繰り出される剣のあまりの力強さに驚いた。

「ロルフさん!」

 からだがぐらついたのが見えたのだろう。レオンが声を叫んだ。

「レオン、キミはヴラドを守れ」


 ロルフは渾身のちからでマリアの剣をなんとかはじき返し、その一瞬の隙から叫んだ。ロルフにはね飛ばされたマリアは空中で回転し地面に着地した。

 が、着地するやいなや、マリアはくるりと方向転換してロルフの脇をすりぬけ——、あっという間もなくヴラドの方へ駆け抜けた。


 ちっ!。(はな)っから、私など相手にするつもりはないか!。


 ロルフは完全に虚をつかれたと感じた。

 あらたにパワーが充填されたことで、ぜったいに『力業』でこちらをねじ伏せにくるとロルフは踏んできた。

 だがその読みをはずされた。

 凄まじいパワーをわざと見せつけて、こちらを警戒させたのち、マリアが生来持ち合わせているすばしっこさで勝負を決めにきた。完全に作戦負けさせられた。

 ロルフがうしろを振り向いたときには、すでにマリアは大きく跳躍して、ヴラドの首めがけて水平に剣を振り抜こうとしていた。


「ドラキュラ、覚悟ぉぉぉぉぉ」

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