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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
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第52話 幼い子にむかってなんてマネするわけぇ?

 マリアは剣で円を描くように大振りして、まず横からの敵を一気に薙ぎ払った。

 

 周りを取り囲んでいたイェニチェリが、突き出した刀ごとはじき飛ばされた。そしてひとりの敵を剣の切っ先でひっかけると、そのまま上に放り上げた。上から飛びかかっていったイェニチェリは、下から仲間をぶつけられて、全員地面にたたき落とされた。


「あなたたち、幼い子にむかってなんてマネするわけぇ?」


 マリアは一応、そう抗議してみたが、今の『力業(ちからわざ)』を見せつけたあとでは、なんの説得力もないようだった。それどころか、その倒されたイェニチェリのうしろから、次の部隊が攻撃をしかけてきた。

 目はまばたきひとつなく全神経を集中し、その顔のいたるところに、殺気がみなぎっていた。その顔、からだ、動作が殺意の塊、といっていいほどだった。しかも全員がおなじ燃えたぎるような目をしている。

 だが、マリアはその第二陣の攻撃をふたたび力業で、はね飛ばしてみせた。


「もう、みんな切羽詰まりすぎ。目ぇ、怖すぎよ」

 一撃ではね飛ばされて地面に転がる兵士も、次に飛びかかってやろうと構える兵士も、マリアを強烈な殺意とともに睨みつけた。だれひとりとしてマリアをちいさな女の子などとは認識していないようだった。


「いいわ。そんな怖い目、閉じさせてあげるわ」


 そう言い切るなり、マリアはからだを反転させて後ろ側に身を踊らせた。その高さはゆうに兵士たちの頭の上を超えていくほどの高さ——。

 マリアの背中側から取り囲んでいた兵士たちは、虚をつかれた。あわてて自分たちの上を越えさせまいとして、刀をもった腕を上空につきあげた。

 その突き上げられた何本もの腕を、マリアの大剣が一気に横から薙ぎ払った。

 刀ごと切断された上腕が、前方を固めていた兵士のほうへ飛んでいく。

 ぼとぼとと自分たちの目の前に落ちてきた腕に、兵士たちが思わずたじろいだ。が、その一瞬の隙をマリアは狙いすました。地面に降りたつやいなや、今度はその兵士たちの足元に転がりでて、一気に脚をぶった切っていった。自分を取り囲んでいた兵士たちの最前列の数十人が、次々とその場に崩れおちていく。

 刀を横にねかせて、自分たちの脚を狙いすまして駆けてくる少女をみて、イェニチェリたちはパニックになった。だがうしろに退こうにも幾層にも取り囲んだうしろの兵に阻まれて、身動きひとつできない。

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