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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
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第51話 掴まえる?。それあとにしてもらっていい?

「ちょっと、やらかしちゃったみたいね、あたし。で、おじさんたち、どうするつもり?」

「おまえを掴まえる」

「掴まえる?。ごめんなさい。それあとにしてもらっていいかしら?。あたしが司令官の首をちょん切ってからで……」


「なにぃ!」

 取り囲んだ兵士たちが、一斉に気色ばんだ。と同時に兵士たちが腰から剣を引き抜いて、いつでも斬りかかれるように正面に構えはじめる。


 が、マリアの剣はそれより速かった。

 地面を踏みぬかんばかりに力をこめてジャンプすると、正面の大柄の兵士に飛びかかっていった。兵士の首をめがけて、マリアがてぶらのまま右腕を大振りする。


「ここを抜けられるものかぁ!」


 正面の兵士はそう叫んだ。が、マリアの振り回した腕がその兵士の首元に近づいたときには、マリアの手はすでに具現化させた剣を握っていた。

 次の瞬間にはその頭は、そのへらず口ごと刎ね飛ばされていた。

 兵士の首から血柱がふきあがり、ぐらりと倒れていく。マリアはすぐさまその倒れかけた兵士の両肩に、足をかけて、思いっきり上に飛び上がった。

 仲間があっという間に()られて、周りの兵士たちが浮き足立った。剣を構えたまま、マリアの姿を目で追いかけて上をみあげる。


 そこへ風が吹いてきた。

 ロルフが放ってきた、弾丸のような風の飛礫(つぶて)。それが地面を這うようにして吹いてきて、兵士たちの足元をすくった。誰彼かまわずあたりにいた兵の足の肉を切り裂き、脚の骨をへし折る。

 マリアが地面に降りたったときには、周りにいた兵士たちは軒並み、その場に転倒したまま呻き苦しんでいた。人だけではない。あたりの幕舎は崩れたり破られていたし、係留していた馬も犠牲になっていた。

 隠密で行動したいたはずが、まるで台風にでも直撃されたようなあたりの有り様を見て、マリアはため息をついた。


 まったく……、ロルフったら派手にやりすぎったらない。 

 さいごのエリアは面倒なことになりそうね。


 マリアはそう覚悟したが、鎧兵部隊と騎馬兵団(シバーヒ)たちの駐屯エリアを向けたところで、覚悟した以上の兵士たちが待ち構えていることがわかった。赤い服、頭にターバン、そして腹にサッシュという出で立ち。


 イェニチェリだった——。


 彼らは容赦がなかった。騎馬兵団(シバーヒ)らとちがい、マリアになにかを尋ねることも、なにかを伝えることもなく、いきなり斬りかかってきた。一度に十人以上が一気に剣を抜いて、マリアのほうへ飛び込んでくる。機敏な動きと訓練されたフォーメーションで、マリアに逃げ場を与えない。

 何本もの刃が、一斉にマリアのほうへ突き出され、横に振り向かれ、上から突き立てようとしてきた。


「ちょっとは遠慮しなさい!」


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