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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
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第27話 さぁ、ヨーロッパ諸国をあっといわせましょう

 マリアは心の中で舌打ちをしながらも、背中の剣に手をのばして、いつでも剣をひき抜ける準備をした。

 だが、ロルフはまったく動じることはなく続けた。


殿(マリアタ)、わたしたちをご活用ください。イェニチェリなど問題になりません。トルコ軍を正面から撃破してみせましょう」

「ほう、わたしをまだ愚弄するつもりか?。よほど命が惜しくないらしいな」

「殿、殿はさきほどあの幼子、マリアの剣を体感されたかと存じますが……」

 ヴラドは射るような流し目をマリアのほうへくれると、怒りをあふれさせた。

「だからなんだ。そなたたちで数万の敵を相手にできるわけなかろう」 

 ロルフは不敵な笑みをヴラドにむけた。


「それが、できるんだよねぇ」


 さすがのマリアもロルフの口のききかたに驚いた。生来の軽薄なキャラクターを隠すこともなく、ヴラド・ドラキュラに軽口を叩いてみせている。レオンとノアの驚きはそんなものではないらしい。彼らは片膝をついたまま、ろう人形のような青白い顔でロルフの背中を見つめていた。


「殿、私たちはメフメト二世を殺すと言っているんだよ。夜襲でトルコ軍を追い返すんじゃなくて……」

「できるわけがなかろう!」

「殿、できるかできないかではなく、そうしたいかどうかで決めてくれないかな。まさか、殿はワラキアの安寧(あんねい)だけで満足されるつもり?。いつまでもハンガリーの言いなりで、トルコからの脅威にさらされ続けられる小国でいいの?」

「この小国で、それ以上なにか望めるとでもいうか!」

「望めばいいんじゃないかなぁ。ヨーロッパ諸国をあっといわせ、ローマ教皇から最上級の信頼を得るようなそんな大望を!」

「できぬものを夢想するほど、このヴラド、現実を知らぬわけではない」


「ここにミライからきた四つの切り札を手に入れたっていうのに?。殿は私たちという現実離れしたカードを手に入れたのですよ。現実に縛られても仕方ないっしょ」


 驚いたことに今、ブラド三世という希代の狂人を相手にしながら、ロルフがイニシアティブをとっていた。あのブラドが言いように振り回されている。

「そう言いきるか。では私は何をおこなえば、そなたの言う圧倒的信頼と力を諸国に示めせるというのだ?」


「簡単なことですよ。殿(マリアタ)……」

 ロルフは、マリアがいままで見たことがない悪辣な笑顔を浮かべて言った。


「コンスタンティノープルを奪還するんです」

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