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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
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第20話 要引揚者を見つけました

「要引揚者を見つけましたぁぁ」

 ノア・ツイマーマンはヴラドに用意してもらった客室に入るなり、ロルフとレオンにむかって報告した。

「なんと、この城の真下、地下室に気配を感じるよぉ」


「へえ。すごいわね。あたし、ナンにも感じないわよ」

 マリアが感心するように言った。

「見くびってもらわないでくれるかなぁ。ぼくって『サーチャー』としての能力は、誰にも負けない自信があるんだからぁぁ」

「ふうん。いいんじゃない。自信があるっていうのは。あたしも『ウォリアー』の才能はすこしはあると思ってるの」


 すこしはぁぁ——?。

 ノアは先ほどマリアがヴラドに斬りかかった様子を思い出した。

 一瞬にして『カッツバルゲル』を具現化し、目にもとまらないスピードで首元に刃をつきつけた、あの敏捷な身のこなしが『すこしは?』なのか……。

 あの年で国内有数のエリートだというのが、そして学長がことのほか可愛がっているのもわかる。

 けっして自分の姪だから、なのではない——。


「どうやって地下にいけるってんだ?」

 レオンがすこし気色ばむような口調で言った。ノアはその圧にすこしムッとした。

「レオン、まぁまぁ、落ちついて、落ちついて。それを今からみんなで考えようじゃないのさぁ」

 ロルフがなだめるように言った。

「考えても仕方ないんじゃないかしら。あのストイカっていう人にお願いしてみるのが、早いんじゃない。地下を見せて下さいって」

「そんな直接的なぁぁ。そんなのうまくいきっこないよぉぉ」

「うまくいくわよ。そうでしょ、ロルフ。ま、最悪の場合は私たち流でやるけどね」

 レオンはマリアの提言を聞き逃さない。

「マリア、なんだよ。その私たち流って!」

「レオン。決まってるでしょ。力ずくよ、力ずく」

 マリアは邪気もない笑顔を浮べた。が、それがあまりにも嬉々として見えて、ノアはぞわっとした。

 もしかしたら、このマリアもヴラドと同種の人間なのではないか——。

 行為や感情の振り幅があまりにもおおきい。オール・オア・ナッシングとでもいうべき考え方だけで、落とし所や中庸という概念が欠落しているように思える。


 マリアの提案を受けてロルフが交渉してみると、意外にあっさりと許可がおりた。案内人は軍事監視官(アルマシュ)のストイカ将軍が引き受けてくれたが、ヴラドは姿をあらわさなかった。

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