表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ5 コンスタンティノープル陥落の巻 〜 ヴラド・ツェペッシュ編 〜
355/932

第3話 それ森じゃないわよ

 マリアはおおきくため息をついて「森ね……」とひと言漏らすと、ゆっくりと荷台の上でたちあがった。


「じゃあ、あなたたちに見えるようにしてあげるわ」

「見えるように?」

 レオンは虚をつかれて、間の抜けた復誦(ふくしょう)を思わずしてしまったが、マリアはまったく気にもとめず、手のひらを上にむけ力をこめた。みるみる手のひらの上に、暗雲が渦巻きはじめた。不気味な黒い雲のなかに小さな火花が散る。レオンがそれが火花ではなく、小さな稲妻だと気づいたときには、手の上には直径十センチほどの光の玉が浮かびあがっていた。

 レオンはその玉から放たれる(まばゆ)い光に見入られた。これほどの光の玉をやすやすと現出させたことに驚きを隠せなかった。これほどの力を使えるのは、自分の知る限り、学園長のエラ・アッヘンヴァルと、天才ロルフ・ギュンターくらいのものだ。

 いつの間にかレオンはノアと顔を見合わせてしまっていた。

「ねぇ。レオン、ノア。あなたたちダイブの前になにか食べた?」

「なにを食べたか?。どういう……」

「まぁ、いいわ。頼むから戻さないでね」

 マリアはそれだけ言うと、手の上に浮いている光の玉をそのままふわっと上に放り投げた。それほど力をこめた風に見えなかったが、光の玉は驚くほど上空にまで昇っていった。

レオンはその軌跡を目で追った。光の玉はちいさな点にしか見えないほどまであがったところで、バーンとはじけた。それはまさに照明弾だった。

 目も(くら)むような閃光が上空に広がり、あたりが煌々(こうこう)と照らし出された。


 森を抜けて木がまばらになってきたと思っていたが、そこは実は長さ1キロ、幅3キロもある広大な平野だった。

 その平野に無数の杭が打ち込まれて、森のように見えていただけだった。


 そしてその杭には、すべて死体が突き刺さっていた。

 あたり一面を埋め尽くしていたのは、串刺しされたトルコ軍兵士の死体だった。

挿絵(By みてみん)


 2万3809体の串刺し死体で作られた森——。

挿絵(By みてみん)


 マリアが得意げに笑みをむけた。

「ノア、潜んでるんじゃないわ。さらされてるのよ。串刺しになってね」



「うわぁぁぁぁぁ」

 気づくとレオンは大きな悲鳴をあげていた。

 自分で自分の鼓膜を破ってしまうと思うほどの大音量。咽の奥を削らんばかりの音の塊が、口から吐き出されていく。その声につられるようにノアが「ひぃぃぃぃ」という甲高い悲鳴をあげる。

 が、レオンはたちまち息が続かなくなった。あわてて息を吸い込むと、突然嗅覚が復活した。


(にお)いがぁぁ——』


【※大切なお願い】

お読みいただきありがとうございます!


少しでも

「おもしろかった」

「続きが気になる。読みたい!」

「このあとの展開はどうなるの?」


と思った方は、

広告の下にある 『☆☆☆☆☆』 部分から、作者への応援お願いいたします。

正直な気持ちでかまいません。反応があるだけでも作者は嬉しいです。


もしよければブックマークもいただけると、本当にうれしいです。

どうかよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ