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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ4 古代オリンピックの巻 〜 ソクラテス・プラトン 編 〜
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第232話 聖がやっと戻ってきた

「ひどいな、マリア。ぼくはそこらの腕っぷし自慢のおっちゃんと殴りあったわけじゃないよ」

 聖がやっと戻ってきた。

 聖は顔に装着した機材を外すと、髪の毛をかきあげ、頭に付着した液体を拭った。

「聖ちゃん」

 かがりはそういうのが精いっぱいだった。先ほどのマリアのことばが、どうにもひっかかった。意識してないのに聖の下半身に目がいってしまう。

 聖はそんなかがりの気持ちなどかまわず、そのまま立ちあがった。粘度を帯びている液体が、聖の上半身から下半身にむけてゆっくりと伝いおちていくのが見えた。


「おい、かがり」

 背後からマリアに大きな声をかけられて、ぎくりとした。あわててマリアのほうをふりむくと、マリアがウインクをしながら、手のひらを上にむけて指先を曲げて手招きしてきた。かがりは促されるまま、マリアの口元に耳をちかづけると、マリアは声をひそめるようにして言った。

「あの中、どうなってるか、教えてやろうか」

 マリアの顔に悪戯(いたずら)っぽい笑みがあふれてた。

「もう、マリア!」

 かがりはマリアに文句を言ったが、自分の前を通り抜けていくセイに気づいて、あわてて声をかけた。

「聖ちゃん、どこへいくの?」

「どこって……、シャワー浴びるんだけど」

「その前に、お腹にちょっとなにか入れていったらどう?」

 そう言いながらかがりはテーブルの方を見た。聖はテーブルの上のハンバーガーをちらりと見てから「着替えてからもらうよ」とだけ言った。

「ばぁか、こういうのはプールからあがったばっかで喰うのがうまいんだぜ。たとえ冷えててもな」

 フォローするようにマリアが言うと、エヴァもそれに追随した。

「そうですわ。プールサイドで食べる『焼そば』がなぜかおいしく感じるのと同じで、きっとおいしく感じられるはずです」


 わたし、応援されてる?。それともディスられている——?。


 かがりは一抹の疑問を感じながら、自分でも言い訳を口にしていた。

「聖ちゃん、今あっためたげるからちょっと待っててよ」

「ありがとう。でも、そのあいだにシャワーを浴びるよ。水着を脱いでさっぱりしたいんだ」

 そう言ってそそくさと部屋を出て行こうとする聖に、マリアが飛びっきり意地悪げな声色で声をかけた。

「おい、聖。そんなに脱ぎたがっているんなら、オレが手伝ってやってもいいぜ」



「なにせもう見慣れちまったからな」


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