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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ4 古代オリンピックの巻 〜 ソクラテス・プラトン 編 〜
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第219話 デウス・エクス・マキナ降臨!

 エヴァは地上の面々にむかって大声で呼びかけた。

「みなさぁん、先などのアンドロギュノスに引き続いて、またもアリストパネスの創造物のおでましのようです」

「それはアンドレアルフスがアリストパネス様をとりこんだからですか?」

 スピロが大声で問うてきた。

「かもしれません。そこらの残骸やゴミを手あたり次第に寄せ集めて作った巨人が、こちらのほうへむかってきます」

「なんだい。その寄せ集めの巨人ってのは?」

 ゾーイの質問にエヴァは肩をすくめた。


「たぶん、本人は機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナのつもりなんでしょうね」


 その時巨人がスタディオンの土手からぬっと姿を現した。競馬場(ヒッポドローム)のほうへ足を踏み入れる。巨人の図体は天を見あげるほど大きかったが、軽量な部材で作られていたせいか、見た目に比して重量感はなかった。

 地響きのひとつでもたてて登場すると待ちかまえてでもいたのか、そのチープな登場にマリアが文句を言ってきた。

「おい、エヴァ。デウス・エクス・マキナなる大袈裟なヤツはあれか?」

「まぁ……。あれがそうなんでしょうね」

 その時、巨人が競技場の中央を分断する分離帯スピナを手で薙ぎ払った。置いてあった祭壇や捧げ物、彫像が中空に舞いあがった。

「まぁ、あの程度は力があるようですわ」

 エヴァは巨人の力をそう分析したが、宙を舞った捧げ物や記念碑の車輪は吸い寄せられるように巨人に取り込まれていった。革ひもが巻きつきその構造を強固なものにしていく。

「なんだよ。まだ絶賛組立中かよ。にしても下級悪魔は頭がわるくていけねぇ。数の次は大きさで勝負しようとしてやがる」

「まったくおそろしいことです」

 スピロがボソリと漏らした。マリアはそれを聞き逃さない。

「おい、おい、スピロ。あんなのが恐ろしいのかぁ。オレはさっきのヤツのほうが千倍、おっかなかったぜ」

「あ、いえ、そういう意味では……。おそろしいほど愚鈍だと言いたかっただけですわ」

「で、その身震いするほどのバカな悪魔ですが、わたしがさっさと倒してもいいですか?」

 エヴァは上空から下の三人に尋ねた。

「おいおい、ミサイル一発でおしまいにするんじゃねぇだろうな」

「ええ。そうですが……?」

「かーっ、エヴァ。おまえは相変わらず効率重視だな。まぁいい。だが、あのアンドレなんちゃらとかいう悪魔はオレにやらせろ」

「あらあら、マリアさん。手柄を独り占めってわけですか?」


 エヴァはすこし非難めいた口調で言ったが、マリアはそれを一笑に付して言った。

「そんなンじゃねぇ。オレがいちばん世話になったからな……」


「プラトンはオレがとどめをさす!」

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