表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ4 古代オリンピックの巻 〜 ソクラテス・プラトン 編 〜
329/932

第217話 斬って!、斬って!、斬りまくる!

 セイはまず自分の一番間近に浮いている日本刀に手を伸ばした。


 順手でそれを握る。

 アンドロギュノスのおぞましい姿がセイに迫ってくる。上下逆向きについた二つの顔は醜くゆがんでいて、まるで悪夢にでてくる悪鬼のようだ。

 セイは地面を蹴り出し刀を構えたまま、猛烈な勢いでダッシュした。先陣をきって這ってきたアンドロギュノスを迎え撃つ。

 セイが右から左に真一文字に剣を薙ぎ払う。一瞬にしてアンドロギュノスが上下真っ二つに切り裂かれた。背中同士で張り付いていた元のひとりひとりの状態に切り離された形になる。

 だが二体には分かれない。

 すでに異形の化物と化しているアンドロギュノスは(おびただ)しい血と、内臓をまき散らして飛び散った。走ってきた勢いは途切れ、地面にべしゃっと潰れるようにしてへしゃげる。

 セイは斬り捨てた敵の末路などは顧みない。

 せいは刀をその斬った太刀筋そのままに投げ捨てる。そしてそのまま反対側のレーンに浮いている刀を、今度は逆手で引き抜く。

 次のアンドロギュノスが突進してくる。セイは刀をもった手を今度は左側から右へとふり抜く。このアンドロギュノスも二枚下ろしで上下にスライスされる。セイは斬った剣を投げ捨てながら、前のめりに突っ込んでくる死体を避けると、右側のレーンの刀を順手で握りしめ今度は右から左へと振り抜く。そして刀を投げ捨てる。

 セイが走る。

 一直線に並ぶ刀の一本を引き抜く。

 地面を踏み込み、

 横真一文字に刀をふるい斬る。


 その刀を投げ捨てる。


 次の剣をつかむ。


 敵を斬る。


 投げ捨てる。


 掴む。


 斬る。


 投げ捨てる。


 握る。

 斬る。

 投げ捨てる。


 握る。斬る。投げ捨てる。

 握る斬る投げ捨てる。握・斬・捨。握斬捨——。


 セイは疾走しながら、その連続技をくりかえしながら怒濤(どとう)の勢いで駆け抜けていく。真っ二つに切り裂かれていくアンドロギュノスの死骸がセイの背後に累々(るいるい)と積みあがっていった。セイの作った刀のレーンは、すでに血まみれ、肉片まみれになっており、凄惨(せいさん)きわまりない状態になっていた。


 セイが落りち返し点の標柱から、反対側の標柱まで一気呵成に駆け抜けおえたときには、アンドロギュノスはすべて斬り捨てられていた。


 最後の一太刀をふるい終えると、セイは自分が返り血で血まみれになっていることに気づいた。すぐさま上にむけて手をあげると、頭上から光のシャワーが降り注ぎはじめ、服装の破れも、血まみれだった姿も修復していった。


 そのとき、どこか遠くからなにか不自然な音が聞こえてくるのに気づいた。この時代、この場所ではあまり耳にしないような音。


 耳をそばだてる。

 セイはそれがなにかはわからなかったが、なんの音かには思いあたった。



 なにか機械が動いている音だった——。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ