表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ4 古代オリンピックの巻 〜 ソクラテス・プラトン 編 〜
311/932

第199話 打つ手だてがない——?

「かもしれない、だとぉ。じゃあ、本物かもしれないんだな」


「え、あぁ、マリアさん。済まないね。あたいには判断できない」

「ゾーイ。無責任なこと言うな」

 こちらはさらに強い剣幕だったが、ゾーイはそれに応える術がなかった。が、スピロがすぐに解決策を強く提案してきた。

「ゾーイ。セイ様の戦車に飛び乗って、今すぐ戦車をとめてください。そうすればその子は、サエさんは()かれるずに済みます。そうマリアさんにも伝えてください」

 スピロはゾーイとマリアが思念で語りあっているのを聞いていたのだろう。マリアの声が直接聞こえるわけではないので、ゾーイのした返事から判断したと思われた。

「了解さ、お姉さま。セイさんの戦車に飛び乗って、戦車をとめるよ」

 ゾーイはことの経緯がわかるように、マリアにも伝わるいい方で復唱した。が、マリアがひときわ強い思念でそれに異議をねじこんできた。

「待て、ゾーイ。ほんとうにそんなことで回避できるのか!。あいてはこんな小賢(こざか)しいマネをする悪魔だぞ。そんなに簡単に逃れられるはずねぇだろ。スピロに伝えろ!。ヤツは非力なバカ悪魔だが、悪意の塊だってことを忘れるなってな」

 ゾーイがすぐさまそれをスピロに伝えると、スピロは反省のことばを口にした。

「マリア様の言う通りですね。わたくしともあろうものが、授けていただいた武器で簡単に退治できるものですから、敵を(あなど)ってしまいました」

「ゾーイ。その子が本物だろうと偽物だろうとどっちでもいい。セイにその子を()かせるな。それがどちらだろうと、セイは自分の妹を救えなかったという事実に(さいな)まされる。なんとかしてくれ!」

 そのマリアの悲痛な思いを伝え聞いて、ゾーイは絶望的な気分になっていた。

 自分ごときの力量ではとても太刀打ちできない——。

 どこから手をつけていいかわからない。叫んで逃げ出したい気分にかられる。

「ゾーイ。いまからわたくしがいくつかの作戦を授けます。でも、たぶんうまくいかないでしょう……」

 姉のあまりにも力ない物言いにゾーイは戸惑った。


 打つ手だてがない——?。


 これまでの窮地を知恵で救ってきた姉をして、ここまで言わせるほど追い込まれているのか。

 ゾーイは勇気を振り絞る思いでスピロに尋ねた。

「お姉さま……。ほんとうにダメ……だったら……?」

 スピロはとても辛そうな口調で答えた。

「そうですね。ゾーイ、もしそのときは、ごめんなさい……」


「おまえに命をかけてもらいます」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ