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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ4 古代オリンピックの巻 〜 ソクラテス・プラトン 編 〜
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第188話 すぐに武器をとってくる

 スピロにはマリアがなんの武器をもってくるつもりなのか、とんと見当がつかなかったが、エヴァは何をやろうとしているかわかったらしく、すぐに袂からなにやら取り出してきた。

 それは一見しただけでは、ミニチュアサイズのピストル——だった。

 エヴァはそのピストルを足元に落とし、地面すれすれでぽうんと蹴りあげた。ボンという破裂音とともに白い煙がふきあがったかと思うと、そのピストルは人間大ほどのおおきさに変化していた。

「まるでオートバイみたい……」

 それを見るなりスピロはついそう漏らした。が、実際にそれは、オートバイほどのサイズで、上から突き出しているハンドルや中腹にあるシート、そして正面のカウル部分などのフォルムを見る限り、オートバイでしかなかった。ただ、カウルの正面にぽっかりあいた大きな銃口や銃床を思わせるサイドパネルのディテールは、あきらかにピストルだ。

 まごついているスピロなど気にも留めずに、エヴァがその物体にまたがった。それでこれが乗り物であると、やっと確信をもつことができた。

「エヴァ様。それはオートバイなのですか?」

「えぇ。ほかになにに見えまして?」

「あ、いえ……。ですが、わたくしには宙に浮いているようにみえますが……」

「えぇ。空をとびますからね」

 エヴァは自慢するでもなく当然のように言った。

「空を飛ぶオートバイ……ですか?」

 スピロはそうとうに面喰らっていたが、エヴァはさほど気にならないらしい。 

「あぁ。これはわたしが想像した『ピストル・バイク』っていうアイテムですわ」

 スピロは驚いて目をむいたが、よりおおきな驚きを覚えたのはゾーイのほうだった。

「エヴァさん、あんた、この世にないもんだって、想像しただけで実体化できるというのかい!」

 その顔にはすこし焦りが感じられた。

 ゾーイ自身はどんなに頑張っても、非力な武器しかこちら側に召喚できない。それでも自分の見知っているものというのが条件だ。頭のなかで想像したもの、ましてや動力やエネルギーが必要な複雑な機械などを創りだすなど、考えたこともないはずだ。

 スピロはふいにゾーイのことが心配になった。マリアやエヴァとの力量差に打ちのめされてなければ良いが、という思いがこみあげる。

 そのときマリアがスピロにむかって言った。

「スピロ!。そこでちょっとだけ待ってろ。すぐに武器をとってくる」

 スピロは「自分にどんな武器を渡されても使いこなせない」と言おうとしたが、マリアはポーンとジャンプすると、エヴァのピストル・バイクの後部座席に飛び乗った。エヴァのバイクがたちまち上空へ垂直上昇していく。つられるようにそちらを見あげる。


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