第110話 五人の賢人集められる
レオニダイオンのタルディスの部屋に五人の賢人が集められた。
このオリンピックの最も人気がある競技、競技である戦車競争がはじまるとしているのに、それが見られなくなることに誰もが不満を漏らしていた。
競馬場から、観衆たちの喧騒が聞こえてきたが、ここは今はスピロたちだけしかおらず、あたりは静けさに包まれていた。
エヴァがたったひとりで、五人の賢人をこの場所に連れてきてくれた。
スピロは、どうやって賢人たちを説得したのかと尋ねると、エヴァは得意げに銃を担げてみせた。
「あらみなさんとても協力的でしたわよ。この銃の威力を見たら、なんとも気持ちよく協力を申し出てくださったわよ」
たしかにその手口を突きつけられたら、誰だってすぐに協力を申し出るだろう。今エヴァはタルディスの寝所の入り口に仁王立ちしたまま、機関銃をかまえていた。
スピ口はふうっとため息まじりの息を吹きだすと天井を見あげた。
今、先ほどゾーイからもたらされた情報がスピロの頭を悩ませていた。
「お姉様、たいへんなことがわかったよ」
「なにをあわてているのです。そろそろセイ様を競馬場へ送り……」
「アルキビアデスさん、いいや、アルキビアデスの正体がわかったんだよぉ」
「正体?。ゾーイあなた、なにを?」
「さっきアルキビアデスと握手したのさぁ。そしたらわかっちまったんだよ。あのアルキビアデスはすでに死んでるってことが……」
「死んでる?。そもそもこの世界は2400年前ですよ。みなとっくに死んで……」
「ちがうんだよ。あのアルキビアデスって男は、この世界ですらいちゃあいけない存在なんだよ」
「ゾーイ?。言っている意味が今ひとつ……」
「この世界が紀元前何年かはあたいにはとんとわからないさ。だけど、このオリンピックが開かれた、この年に、アルキビアデスは存在してねぇはずなのさ」
「いいえ、ゾーイ。この時代はおそらく紀元前404年。ですから……」
そこまで言ったところで、スピロはことばを続けられなくなった。
やられた!!!!!。