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ぼくらは前世の記憶にダイブして、世界の歴史を書き換える 〜サイコ・ダイバーズ 〜  作者: 多比良栄一
ダイブ4 古代オリンピックの巻 〜 ソクラテス・プラトン 編 〜
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第53話 で、誰がだれにはりつきゃいいんだ?

「いや……それはまずい」

 セイがことばを選ぶようにして言った。

「相手はぼくらがジョー・デレクさんを助けにきたということを知っている。だから先回りして『未練』をすげ替えるような真似ができたんだ。マリアの言うように大暴れしてしまうのも手だけど、万が一、その先の手を打たれていたら悪魔は倒せても、デレクさんの魂が引揚げられなくなる、という可能性は捨てきれない」

「そうか……。ンなら、スピロの計画に乗ってみてもいいぜ」


 まただ——。

 あのマリア・トラップが、セイのことばに素直に引き下がった——。


「おい、スピロ、オレはだれに付きゃいい?」

 マリアにいやに軽い調子で尋ねてこられて、スピロはすこしあわてた。

「あ、はい。マリア様。あなたにはひき続き、プラトン様をお願いします」

「だと思ったよ。まぁ、あいつの肩車には慣れたからな。いいだろ、ひき受けてやる」

「次にエヴァ様。あなたにはアリストパネス様を」

「まぁ、それが妥当でしょうね。ソクラテスやヒポクラテスさんを割り当てられるよりましです」

「で、ゾーイ。あなたにはトゥキディデス様をお願いします」

「了解だよ、お姉様。と言っても、どう扱っていいのか、さっぱりわかりゃしないけどねぇ」

「ゾーイ、ちょっと待ちなさい。それはのちほど個別に授けます」

 そう言うとスピ口はセイの方に目をむけた。

「セイ様、あなたにはヒポクラテス様をお願いします。わたくしはソクラテス様を担当します」

「なんだ、スピロ。んじゃあオレと一緒ってことかよ」

 マリアがちょっと残念そうに言った。

 スピロは、マリアはおそらく自分と同行することが気にいらないのだ——。

「セイがソクラテスについてくれりやあ、プラトンのあいだで、またおもしろいものが見れたかもしれねぇのにな」

 そう言ってマリアは悪戯っぽく笑ってみせた。スピロのこころにまたちょっとした驚きの気持ちが灯った。自分とバディになるのが気に入らないのではない——?。

「マリア、勘弁してくれよ。もう、プラトンさんに近づくのはこりごりだし、ソクラテスさんの相手をするには、ぼくなんかじゃあ『力不足』だよ」

 そう言ってスピロの方に目をむけてきた。


「そうですね。あれはまともな方には、少々難物ですわ」

「あれほどの偉人は。スピロ、きみくらいの実力がないと対抗することなんてできやしないよ」

 スピロは顎をこころもちあげて、当然のように言った。


「そうですか?。ソクラテス様は……私には『役不足』ですけどね」

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